東京2020オリンピックでは銅メダルをかけたプレーオフに残るも一歩及ばず4位入賞だった。マスターズも制したメジャートーナメントチャンピオンがパリ2024オリンピックでは銅メダルを獲得。試合を終えた直後、悲願のメダルを手にした松山英樹選手に率直な思いを聞いた。
――銅メダル獲得、おめでとうございます。
ありがとうございます。
――日本男子ゴルフとしてはオリンピック史上初のメダルということになりましたが、率直な感想をお聞かせいただけますでしょうか。
前回の東京2020オリンピックでとれなかった分、今回メダルをとることができてうれしいなと思っています。
――通常のトーナメントは優勝して初めて表彰ということになりますが、3位まででメダルを獲得できるという意味では、普段とプレーの仕方が違うということはあったのでしょうか。
金メダルしか狙っていなかったです。ただ、銅メダルをもらえたことはすごくうれしいです。やはり、東京2020オリンピックではメダルを逃して4位入賞だったので、3位であっても本当にうれしかったですね。
――金メダルしか狙っていなかった、ということは、金メダルがとれなかったことへの悔しさも大きいのでしょうか。
いや、もうそれは試合が終わった時点でそうなってしまったことなので、そういう悔しさはあまりないです。
――丸山茂樹監督をはじめ、メンバーやスタッフの皆さんがすごく喜んでいらっしゃいましたよね。どんな声をかけてもらい、また松山選手はどのように答えたのでしょうか。
正直なところ、あまり覚えていないです、はい(笑)。
――皆さんが喜んでくださっていたという雰囲気は伝わっていましたか。
そうですね。はい、それはしっかり伝わっています。
――最終ラウンドはバーディー合戦となりました、とくに後半のバックナインはすごく激しい展開になりましたが、ご自身はスコアボートを見てライバルの動向を気にしながらプレーをされていたのでしょうか。
普段のトーナメントでもそうですが、上位と何打差あるのかはしっかり確認していないといけません。それ次第で攻め方も変わってきますしね。その意味では、普段とあまり変わらずにプレーできたかなとは思っています。
――前回の東京2020オリンピックは無観客という形での大会でしたが、今回のパリ2024オリンピックは多くのギャラリーに見守られてのプレーでした。そうした違いは影響したのでしょうか。
そうですね。すごく熱気を感じたという部分はあったので、このオリンピックに出られてすごくよかったなと思っています。
――マスターズでメジャートーナメント制覇も経験されている松山選手にとって、「オリンピックでメダルをとる」ということに対する価値についてはどのように感じていらっしゃいますか。
どうなんでしょう。正直なところ、まだあまり分かっていないです。
――今後、周囲からのさまざまな反響によって、また実感が湧いてくるのかもしれませんね。
はい。そうなるとうれしいですね(笑)。
――スコッティー・シェフラー選手(アメリカ)が金メダル、トミー・フリートウッド選手(イギリス)が銀メダルとなり、表彰台に3人で上がりセルフィーで撮影などもされていました。松山選手の笑顔もすごく印象的でしたが、皆さんでどのようなお話をされていたのでしょうか。
みんなで、「おめでとう」と言い合いました。セルフィーでの撮影もありましたが、あれはお願いされてやっただけだったので、そこに特別な気持ちはなかったです。
――他競技の皆さんと一緒に、オレンジ色のユニフォームを着ていらっしゃいます。TEAM JAPANとして戦うということに関して、特別な思いはありましたか。
やはり日本代表としてオリンピックに出る以上は、金メダルを目指します。これはどのスポーツでも同じだと思います。その思いはかなわなかったわけですが、それでも銅メダルをとることができたことは素直にうれしいなと感じています。
――オリンピックを観て、松山選手を応援することをきっかけにして、これまであまりゴルフに興味を持っていなかったが、ゴルフを観たり、プレーしたりするようになるという方もいると思います。改めて、松山選手が考えるゴルフの魅力を教えていただけますか。
ゴルフは短期間で完結するものではなく、長期間積み上げてやっていくというスポーツです。そういう中で、天候の変化だったり、体調の変化だったり、いろいろなことがあるわけですが、総合的に向き合いながら楽しむスポーツだと思います。そういう意味では、気が短い人にはちょっと難しいスポーツかもしれないと思いますが(笑)、ぜひ、皆さんには一度は触れてみてほしいなと思います。
――試合直後で本当にお疲れのところ、お話しいただき本当にありがとうございました。おめでとうございます。
ありがとうございました。
松山英樹(まつやま・ひでき)
1992年2月25日生まれ。愛媛県出身。4歳の時にゴルフを始める。2011年三井住友VISA太平洋マスターズを制し、倉本昌弘選手、石川遼選手に続く史上3人目となるアマチュアでのツアー優勝を果たす。13年にプロ転向。同年はシーズン4勝を挙げ男子プロゴルフツアー史上初のルーキー賞金王となる。14年からアメリカツアーに主戦場を移し、ザ・メモリアルトーナメントで初優勝。16年日本オープンで国内メジャー初制覇。21年マスターズで日本人男子初となる4大メジャー制覇を達成。同年東京2020オリンピックでは銅メダルを争う7人によるプレーオフに挑むも1ホール目で脱落して4位入賞。24年パリ2024オリンピックで日本男子初となる銅メダルを獲得。LEXUS所属。
注記載
※本インタビューは2024年8月5日に行われたものです。
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