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アテネ2004


代表選手選考会・出場権獲得レポート

女子ホッケー
初の出場権獲得! 女子ホッケー

3月24日、ニュージーランドからうれしいニュースが飛び込んできた。女子ホッケー日本代表が、当地で開催されていた世界最終予選で出場権の与えられる5位以内を決め、女子としては1980年モスクワ大会から正式種目になって以来初、日本ホッケー界としても1968年メキシコシティー大会の男子以来、実に36年ぶりとなるオリンピック出場権を獲得した。

指導歴35年を誇る"女子ホッケー界の父"安田善治郎監督の下、18人の選手は、自分たちのホッケーを信じて、戦い抜いた。

そのホッケーとは、前から積極的にプレッシャーをかける守備で相手ボールを奪うと、そこから一気に前線のサイドにつないでカウンター攻撃を仕掛けるというものだ。

もし、相手が慌てて反則を侵すようなら、ペナルティーコーナー(以下PC)から確実に得点を奪う。パワーとフィジカルで欧米に劣ることを前提に、日本はいかにすれば勝てるかを考え抜いた安田戦術が見事にはまり、それを選手がフィールドの上で実行してみせた結果が、今回の喜びにつながったと言えるだろう。

戦術と並んで勝因に挙げられるのが、精神力の強さだ。

大会前、主将の三浦恵子選手が、予選突破のポイントに「プレッシャーの中でも、自分たちの力を発揮できるような強いハートをもつことが大切」と語ったが、オリンピック出場がかかった予選リーグの韓国戦などは、まさに気持ちで相手を上回った試合。2-0から韓国の逆襲を受けたが、弱気になることなく、逆に追加点を奪ってアジアのライバルを撃破した。

2週間前に男子ホッケーが出場権を逃し、「何としても女子は」というプレッシャーもあったと思うが、それをもはねのけ、最終的には優勝という文句なしの結果で、最終予選を終えた。

オリンピック出場の可能性が薄いということで、これまで置かれていた環境はかなり厳しいものであった。年間の強化費は微々たるもの。合宿では大学の体育館を借りて寝泊りし、宿泊費を浮かせたこともあった。今年で8年目を迎える日本リーグ(Fリーグ)は知名度・人気ともに低迷し、チームの廃部も相次ぎ、ホッケーを続けていくことすらままならない選手もいた。そんな過酷な環境下、「この現状を打破し、好転させるには、オリンピックに出場するしかない」というハングリー精神が、くじけそうな時も、彼女たちを支え続けてきたに違いない。

これで、悲願のオリンピック出場を果たすこととなった。さらに女子ホッケーをよりメジャーにし、競技に集中できる環境を手にするには、本番で結果を残すことが何よりだ。アルゼンチン、オーストラリア、オランダ、中国の4強が立ちはだかるが、2002年釜山アジア大会でも中国を破っているなど、実力にそれほどの開きはない。これに満足することさえなければ、1932年のロサンゼルス大会男子の銀メダル以来、72年ぶりのメダルも十分にあり得る。

Text:中川和彦 Photo:(社)日本ホッケー協会

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