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2021.08.07 オリンピック

【メダリスト会見】スポーツクライミング・野中選手、野口選手「2人でメダルをとれて本当に良かった」

【メダリスト会見】スポーツクライミング・野中選手、野口選手「2人でメダルをとれて本当に良かった」
記者会見に出席した(左から)野口啓代選手、野中生萌選手(写真:アフロスポーツ)

 東京2020大会のスポーツクライミング女子複合で銀メダルを獲得した野中生萌選手、銅メダルを獲得した野口啓代選手が7日、記者会見に出席し、メダル獲得から一夜明けた心境を語りました。

■野中選手「東京大会という特別な舞台に出場できて誇りに思う」

――メダル獲得から一夜明けての感想を教えて下さい。

野中選手 まだメダルを取った実感が湧いていません。

野口選手 長い間目指してきたオリンピック、そして私の競技人生最後の引退試合が終わってしまったんだなという感じです。まだ実感は湧いていないです。

――新競技となった東京大会でメダルを取れた思いを教えてください。

野中選手 私にとっては東京出身で、東京大会にクライミングが初競技で選ばれて、その舞台に立てるというさらに特別なものに感じていたので、そこに出場できたことは本当に誇りに思います。そこでメダルをとって、私ひとりではなく啓代ちゃんと2人でメダルを獲得できたことはうれしく思っています。

野口選手 スポーツクライミングにとって初めてとなるオリンピックで、プレッシャーもすごくあったんですが、最終的に生萌と2人でメダルを獲得することができてほっとしています。

――野口選手にとって、今回が現役最後の試合となりました。今後のクライミング界で野中選手に託したい思い、またそれを受けて野中選手の思いを教えてください。

野口選手 託したい思いというのは特にないのですが、生萌の強さであったりクライミングに対する情熱だったりをずっと肌身で感じてきて、この先私が引退しても生萌だったらクライミング界を引っ張ってくれて、次のパリ大会でも頑張ってくれるんじゃないかとすごく期待しているので、託すというよりも安心してみていられるなという気がしています。

野中選手 さすが、プレッシャーをかけてくるなという感じですね。ずっと一緒に戦ってきた啓代ちゃんにそういうふうに言ってもらえて、私は自信を持って「私が引っ張っていきます」と言えるように、これからの大会もしっかり成績を出せるように努力していきたいと思います。

――野中選手、9月の世界選手権への出場はどう考えていますか?

野中選手 今はまだ決めていなくて、怪我の状態次第になるかなと思います。そこまでの期間がないので、この大会を終えて少しケガが悪化しているのは事実なので、ケガ次第ということにはなりますが、出られるチャンスがあるのであれば出場したいなと考えています。

【メダリスト会見】スポーツクライミング・野中選手、野口選手「2人でメダルをとれて本当に良かった」
野中生萌選手(写真:ロイター/アフロ)
【メダリスト会見】スポーツクライミング・野中選手、野口選手「2人でメダルをとれて本当に良かった」
野口啓代選手(写真:ロイター/アフロ)

■野口選手「最後の集大成を皆さんにお見せできた」

――野口選手、今後は競技生活を離れますが、クライミング業界にどう貢献したいですか? またそのビジョンがあれば教えてください。

野口選手 今後のビジョンは、はっきりとしたことは言えないのですが、私自身すごくクライミングに感謝している部分があるので、大好きなクライミングを広げていけるような活動をしていきたいと思っています。

――精神面を鍛えるためにどのようなトレーニングをしていますか?

野中選手 ケガを最近したり、オリンピックの選考大会の時もケガをしていたなと、振り返ると思い、日々生活をしていることこそがチャレンジで。オリンピックの1カ月前まではかなり調子が上がってきたところでのケガだったので、この1か月の過ごし方であったり、1日1日がメンタルのトレーニングになっていたかと思います。

野口選手 私にとって、オリンピックに出場することであったり、メダルをとることに対して、なぜメダルがとりたいのか、その理由が自分にとって重要だと思っています。自分がどういう人間になりたいか、どういうクライミングをして、どういうところを見てほしいのか、自分自身のことを見つめ直すように日々しています。

――お二人が初めて会ったのはいつ、どこで? また、その時の印象を教えてください。

野中選手 覚えていないです。いつだろう? クライミングジムで面識はあったのですが、会話をするのは私が国際大会に出るまではなかったので、ワールドカップに出始めた16歳頃から本格的に啓代ちゃんと関わるようになりました。

野口選手 生萌がワールドカップに参戦し始めて、日本チームの一員として知り合ったのがきっかけだったと思います。

――順位の決め方が掛け算でユニークな競技だと思ったのですが、競技者目線でのクライミングのおもしろさは?

野中選手 クライミング自体は、3種目を見たときに1種目1種目で違った面白さがあります。スピードは速さを競うので目に見えて分かる種目ですし、ただ、今回のフォーマットは総合の掛け算で、いろんな選手の成績がごちゃ混ぜになるので、自分の成績だけでなく、他の選手の成績が自分の成績に反映するというすごく難しいフォーマットだったと思います。ただ、いろんなクライミングの要素で、1人の選手がいろんなものをこなして全く違うものをやるというのが面白いと思います。

野口選手 私が感じるコンバインドの面白さとしては、出ている選手1人ひとりの作戦が違ってスピードで必ず1位をとりたい選手がいたり、ボルダリングとリードで良い順位をとりたい選手がいたり、1人ひとり作戦が違う中で作戦通りにいくのか、1人ひとりの個性が見ていて面白いなと思います。今回もそうだったのですが、最後の1人が登り終わるまで自分が何位になるか分からないという、ドキドキする展開がすごく面白いと思います。

――競技者として、他国の選手はライバル、それとも仲間という感覚どちらですか?

野中選手 もちろん競技が始まればライバルになるんですが、クライミング界では情報を共有し合うことは普通に行われていて、それもある意味クライミングの魅力のひとつかなと思っています。

野口選手 ライバルであり、仲間でもあると思います。もちろん全員目の前の課題を登りたいという気持ちが一緒なので、その課題をどうやったら登れるようになるんだろうというアイデアを出し合っていくというのがクライミングでは当たり前なので、それもクライミングの魅力だなと思います。

――野中選手、パリ大会では3種目複合からスピードが独立しますが、どちらかに絞るのか、両方の出場を目指すのか現時点で考えていますか?

野中選手 パリに向けての目標ははっきり決まってはいませんが、この東京オリンピックを目指してきてスピード競技でまだ伸びるという可能性も感じていますし、せっかくここまでやってきたというのもあるので、パリに向けて挑戦したいという気持ちはあります。なので、3種目できたらクライマーとしてオールラウンダーに強さをアピールできるので、それもひとつ大きな目標になると思っています。

――東京大会を振り返ってどんな大会でしたか?

野中選手 3種目の掛け算のフォーマットというのにやはり苦しめられたというか、なかなか思ったようにスムーズにいかない試合展開だったと思います。ただ、そんな中でも最後の最後まで気持ちを切らさずに登り切れたのがこのメダルにつながったと思うので、メンタルの成長も感じられましたし、そこに関してはすごく良かったかなと思います。

野口選手 今回の東京オリンピックは、私の引退する最後の集大成を皆さんに見せたいという思いで頑張ってきて、引退する試合で自分の最高の状態でまだまだ強い自分を見せたいなと思っていました。結果的にメダルを取ることができて、皆さんに最後に集大成を少しでもお見せできたんじゃないかなと思っています。

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