MENU ─ ニュース
2024.09.26 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:愛知県、中部経済同友会と説明会を共同開催

image01
登壇してプレゼンを行った5選手

 公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)は6月17日、愛知県名古屋市でトップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。

 アスナビは、アスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。年間を通じて「説明会」を複数回実施し、企業に対してトップアスリートの就職支援を呼びかけています。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまで227社/団体394名(2024年6月17日時点)の採用が決まりました。今回の説明会は愛知県、中部経済同友会との共催で行われ、23社41名が参加しました。

image02
大村秀章愛知県知事

 最初に共催者を代表して大村秀章愛知県知事が「本日登壇される5名のアスリートの皆さんは世界の舞台での活躍が期待されるトップアスリートであり、愛知県を中心とする中部エリアでの就職を希望していると伺っております。試合とは異なる緊張感があるかと思いますが、この機会に是非とも積極的にプレゼンテーションを行っていただければと思います。また、企業の皆様には積極的な採用をご検討いただければと思います。2026年には愛知・名古屋アジア大会が開催されますが、盛り上げるためにはスポーツへの関心を高めること、そして愛知県ゆかりのアスリートに活躍していただくことが大切です。本日ご出席の皆様におかれましても、本県ゆかりのアスリートへのご支援を引き続きよろしくお願いします」と挨拶しました。

image03
井上康生JOCハイパフォーマンスマネージャー

 続けて主催者を代表して、パリ2024大会でTEAM JAPAN副団長を務める井上康生JOCハイパフォーマンスマネージャーがアスナビ説明会に参加した企業に対する感謝の言葉を述べました。続けて「アスリートは多くの仲間に愛されることで自分の限界を超えられるものだと感じております。企業に雇用され社員の皆様に応援されることで、これまで勝てなかった相手への勝利や超えられなかった記録の更新が可能になるものと考えております。これからの未来を作るアスリートへのご支援をよろしくお願いします」と挨拶。その後登壇するアスリートに向けてご自身のエピソードを紹介しつつ「アスリートの皆さんにおかれましては、競技力を高めることはもちろん人間力を高めていきながら、競技のみならず様々な舞台で貢献していただきたいと思います」と、激励の言葉を贈りました。

image04
柴真樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクター

 続いて、柴真樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターがアスナビの概要を、スライド資料をもとに紹介。アスナビが無料職業紹介事業であることや登録するトップアスリートの概略のほか、就職実績、雇用条件、採用のポイント、アスリート活用のポイント、カスタマーサポートなどを説明しました。

 その後、就職希望アスリート5名がプレゼンテーションを実施。映像での競技紹介やスピーチで、自身をアピールしました。

image05
石田唯選手

■石田唯選手(自転車/マウンテンバイク・ロード)

「私は、自然豊かな町である京都府の美山町で生まれ育ちました。私が競技用の自転車に初めて乗ったのは小学校2年生の頃です。風を切って進むスピード感や、自分の力で遠いところまで行けるという自転車ならではの魅力に引き込まれていきました。高校は地元の自転車競技部の強豪校に進学し、本格的に自転車競技に打ち込みました。努力すればそれだけ結果が伴う自転車競技に夢中になり、負けたくないという思いで男子選手の背中を追いかける毎日でした。その結果、全国大会優勝や世界選手権出場など、より高いレベルのレースを経験することができ、世界で戦える選手になりたい、オリンピック選手になりたいと強く思うようになりました。その後、早稲田大学のスポーツ科学部に進学し、選手活動だけではなく、学業や教職課程、アルバイトにも並行して取り組みました。限られた時間の中で、どうすれば安全に確実に練習の質を上げられるかを試行錯誤し、日本一になるという目標を一つ一つ達成してきました。昨シーズンはロード種目とマウンテンバイク種目で日本チャンピオンになることができましたが、レースの結果以上に、そのプロセスを通じて培った継続力、分析力、解決力が私の強みです。私は、自然の中のオフロードを舞台にレースを行うマウンテンバイクのクロスカントリー種目で、ロサンゼルス2028大会への出場を目指しています。この競技は様々な要素が組み合わされた特設コースを周回し、順位を競います。ダイナミックでテクニカルなコースを攻略する高い技術と身体能力、そして強靭な誠凛力と集中力が求められる種目です。私にとってのマウンテンバイクの一番の魅力は、自然を身近に感じ、自然と触れ合うことができるところです。近年、環境問題やSDGsについて考える機会が多くなっていますが、私は山を使わせていただいているマウンテンバイク選手として、自然環境を守るために何ができるかを問い続ける使命があると考えています。そして、豊かな自然を守り、清らかな川や美しい山とともにこれからもずっと暮らせるように、些細なことでも私にできることを実行していこうと思います。また、これまでの競技生活で得た経験と知恵、スポーツ科学の知識を生かして、健康な社会作りに貢献したいと考えています。そして社員の皆様とともに、いつまでも心身が健康でいられる環境を作っていきたいです。もしご採用いただけましたら、どのような業務も粘り強く遂行し、会社と社会に貢献することをお約束します。また、アスリート社員として、会社の新たな活力となり、皆様の士気を上げられる存在になれるように、自分史上最高を更新し続けていきます」

image06
兼松直生選手

■兼松直生選手(スキー/スノーボード)

「私は6歳からスノーボードを始め、12歳のときに世界で活躍しているワールドカップ選手の力強くて大きく見える個性的な滑りや周りの人を明るくする人柄に魅了され、競技を始めました。スノーボードパラレル大回転競技は国内大会が少ないため、1年のうち約半分は海外に拠点を置いて競技をしています。そんな私だから得られた強みが2つあります。1つ目の強みは、コミュニケーション力です。海外の大会を転戦する中では、大会コースの情報や練習環境の確保など、現地の選手やコーチたちから情報を得ることが必要になります。私は英語が得意ではありませんが、ジェスチャーや翻訳アプリを駆使して現地の選手やコーチたちとコミュニケーションを図ることで、徐々に現地の選手たちの中に入れるようになり、今では海外遠征での不安要素はほとんどありません。この経験から、私はどんな環境でも1人で飛び込んで積極的にコミュニケーションを図ることで仲間を作ることができるようになりました。2つ目の強みは、冷静に分析する力です。競技生活において、海外遠征ではコーチがいないケースも多々あります。そのため、自分と海外トップ選手の動画を比較し、研究分析をしています。自分の動画を見て、今の技術に何が必要であるか、自分の強みはどこなのかを毎日分析・評価しています。今年2月には1人で1週間韓国に遠征に行き、現地の韓国チームに自分で交渉して練習に取り組みました。練習後に自分の動画を確認して改善点を見つけ、翌日の練習に取り組みました。その結果、韓国で開催されたアジアカップでは予選2位のタイムを出すことができ、自分の思い描いたイメージ通りの滑りをすることができました。企業の皆様にご採用いただいた際には、世界へ挑戦する姿を企業の皆様に見ていただくことにより、皆様の希望や活力になりたいと考えています。また、アスリートである私が企業の一員となることで、皆様がスポーツに興味を持って運動するきっかけを作り、企業の健康経営に貢献したいと考えています。また、私の強みであるコミュニケーション力を生かし、私の活躍を直接お届けすることにより、社員の皆様の一体感を生み出せる人材を目指します」

image07
竹澤志緒里選手

■竹澤志緒里選手(フェンシング/フルーレ)

「私がフェンシングを始めたきっかけは、小学3年時に京都府タレント発掘事業である京都きっずの1期生に選ばれたことです。小学4年から中学3年までの6年間、オリンピアンであるコーチから、戦術やアスリートに必要な心構えなど、多くのことを学びました。京都きっずではフィジカルプログラムやコンディショニングプログラム、海外の人とコミュニケーションの取り方を学ぶ国際プログラムなど、競技以外のことも学びました。中学3年時に、ジャパン・ライジング・スター・プロジェクトのフォーラムに登壇しました。そこには金メダリストである鈴木大地前スポーツ庁長官がいらっしゃり、お話を聞くうちに私も世界と戦いたい、オリンピックでメダルを獲りたいという想いが沸き立ちました。高校2年時には初めてシニア国際大会に参戦しました。しかし会場や選手の雰囲気に圧倒されてしまい、予選敗退という結果で悔しい思いをしました。しかし、その直後のコロナ禍でも諦めることなく、自宅待機中もトレーニングを続け、インターハイ代替試合で3位入賞することができました。また、ジュニア世界選手権のメンバーに選出されるまでになりました。大学進学後はナショナルチームの一員として、ナショナルトレーニングセンターで練習を行い、ワールドカップに参戦しています。私の目標は4年後のロサンゼルスオリンピックと8年後のブリスベンオリンピックに出場し、メダルを獲得することです。目標達成のために常に心がけていることが2つあります。1つ目は失敗を恐れないことです。海外のトップ選手と対戦するとき、以前なら気持ちで負けてしまい手も足も出ないことがありましたが、コーチからの『チャレンジしないと何事も成長しない』という助言によって、今ではどんな対戦相手にも『できることを全力で』という強い気持ちで挑めています。2つ目は、相手の意見を尊重することです。相手の言葉に耳を傾け、それについて深く考えるようにしています。どんな意見にも得るものが多いと気づきました。このように行動したことで、大学チーム内に、お互いに対する信頼が生まれて強いチームワークを築くことができ、全日本フェンシング選手権大会で団体2連覇を達成することができました。私が競技を通して培ってきた精神は皆様の企業でも必ず発揮できると考えています。チャレンジする精神と相手の意見を尊重する想いを活かし、企業の一員としてどのような仕事にも積極的に取り組む覚悟があります。また、私が国内外で活躍する姿を、社員の皆様にお届けすることで、社員の方々の意識や団結力を高めることができると思います」

image08
前田秀隆選手

■前田秀隆選手(テコンドー)

「テコンドー競技はシドニー2000大会からオリンピックの正式種目となっており、1試合2分3ラウンドという短い限られた時間の中で多彩な蹴りが飛び交い、非常に展開が早く迫力のある競技です。私は3人の兄とともに空手を3歳から始め、そのうち2人がテコンドーに転向したことをきっかけに、小学1年生からテコンドーを始めました。空手でも足技が得意だった経験を活かし、小学1・2年生の全日本ジュニア選手権で優勝することができました。そのときからオリンピックでのメダル獲得を目標に掲げ、今日まで日々練習を積み重ねてきました。しかし成績が悪い時期や、伸び悩む時期もありました。小学校高学年から中学・高校にかけては結果が出ず、大学入学後は減量など心身苦しむことが多々ありました。そのようなとき、2つの言葉に出会いました。自身の道場の先輩でもあり現在はジュニアの日本代表コーチを務める方の『諦めない気持ち』と、元サッカー日本代表の本田圭佑選手の『どうせ人はいつか死ぬ。だからやりたいようにやってみろ』という2つの言葉です。この2つの言葉に背中を押されたことで『今やるしかないんだ』と思い立ち、ここまで目標を掲げ夢に向かって走り続け、今の自分が存在しています。その結果、2019年ギリシャの国際オープン大会で優勝、2022年のオーストリアの国際オープン大会で2位、国内では全日本選手権大会で2度優勝、全日本学生選手権大会では3度優勝、そしてパリ2024大会のアジア大陸予選日本代表選考会で優勝することができました。アジア大陸予選では結果を残すことができずパリ2024大会へ道は途絶えてしまったのですが、この悔しさを絶対に忘れず、2026年の愛知・名古屋アジア大会でメダルの獲得、そしてロサンゼルス2028大会で日本男子初のメダル獲得を実現するために、1日1日自分に打ち勝って成長していきます。競技活動以外では2023年の11月から埼玉県東松山市で観光大使を務めており、地域の魅力や地元の名物など、人と人との繋がりを大切にして街の素晴らしさを発信しています。皆様の企業にご採用いただけましたら、これまでの経験を活かして礼儀礼節を忘れず能動的に行動すること、1つ1つの仕事に敬意を持って取り組み、挨拶、返事、迅速な行動といった当たり前のことを当たり前にできる社会人として企業に貢献していきます」

image09
金澤野愛選手

■金澤野愛選手(スキー/スノーボード)

「私は5歳のときにスノーボードを始めました。高校1年から本格的に競技を始め、オリンピック出場に向けて日々努力しています。競技を始めて1年目の全日本選手権で3位となり、高校2年生から全日本スキー連盟強化指定選手として活動しています。しかし、高校3年生からコロナウイルス感染症や暖冬の影響により、思うように海外遠征に行けなかったり、予定されていた大会が全て中止になってしまうこともありました。このような状況の中でも、男性選手とのパラレル練習など、国内での練習にもモチベーションを下げることなく工夫して取り組みました。目の前のことに全力で取り組んだ結果、2021年から全日本選手権3連覇を達成しました。どのような状況であっても諦めずに、継続して努力し続けたことが結果に現れた瞬間でした。しかし、全日本選手権で優勝しても特に優遇されることはなく、獲得ポイントのみを基準とするためワールドカップに出場することが中々できませんでしたが、この冬、チェコで行われた大会と、カナダで行われた大会で好成績を残すことができ、ようやくワールドカップに出場することができました。結果としては23位と、出場1年目としては良い結果を得ることができましたが、ワールドカップという大きな舞台も肌で感じる中で、勝つためにはワールドカップでのレース経験を増やし、難しいコースや雰囲気に慣れ、速い選手に揉まれることが何よりも重要であるということを大きく感じました。皆様の企業にご採用いただいたら、全てのことに手を抜かず世界へ挑戦する姿をお届けすることで、社員の皆様の一体感醸成に寄与できればと考えております。また、競技におきましては、サポートしていただいている全ての皆様への感謝の気持ちを忘れずに取り組んでいきたいと考えています」

 プレゼンテーション終了後には就職希望アスリート5名が再度登壇し、インタビューを実施。柴ディレクターの質問に答える形で、5選手が自身のことや、取り組んでいる競技の魅力について説明しました。

 続いて、同説明会を通じてオトパウリネ恵美里選手(バレーボール/ビーチバレーボール)を採用した社会医療法人宏潤会 HRM部管理部長の堀真也氏とHRM部D’sAcademy室長の伊澤啓生氏が登壇しました。まず堀氏が同法人の概要と、同法人におけるアスリート採用のエピソードについて説明。同法人では「チームワーク」「貢献」「卓越性」「おもてなしの心」の4つのバリューを大切にしており、この4つのバリューに共感できる人材が見つかるのではないかと考えたことから2年前にアスナビ説明会に参加。そして実際に採用に至ったオト選手について「オト選手は怪我の影響により車椅子で説明会に参加しており、競技復帰や今後の活躍について不安に思った企業もあったかもしれません。しかし私達は何よりもバリューに共感できる人材を求めており、プレゼンテーションや会話を通してオト選手を採用し、夢を応援したいと感じました。また、オト選手の『病院に通うお子様や患者様に元気と感動を与える選手になりたい』という病院で働くことについての想いとこちら側の想いが一致したことで、採用に至りました」と話しました。続いて伊澤氏が採用後の影響について説明。新入社員研修でのオト選手の発言や他の職員との交流の様子から、アスリートには周囲を巻き込む力があると感じたという伊澤氏は「オト選手を中心に彼女を応援する輪が広がっており、彼女と関わる職員たちが元気になっていると感じます。本日登壇した5名の方々もそうかもしれませんが、これがアスリートの持つ力なのではないかと思います」と述べました。最後に堀氏は「オト選手と出会うきっかけとなったアスナビ説明会に非常に感謝しています。これからもアスリートと企業がアスナビを通してマッチングし、企業の発展に向かって進んでいただけたらと思います」と語りました。

 また、説明会終了後には、選手と企業関係者との名刺交換、情報交換会が行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

お気に入りに追加

お気に入りに追加するには
会員ログインが必要です。
ログイン会員登録はこちら
お気に入りに追加するには
会員ログインが必要です。
ログイン会員登録はこちら
お気に入りに追加するには
会員ログインが必要です。
ログイン会員登録はこちら
お気に入りに追加するには
会員ログインが必要です。
ログイン会員登録はこちら
ページをシェア

関連リンク


CATEGORIES & TAGS


キャリア支援 の最新ニュース

    最新ニュース一覧