日本オリンピック委員会(JOC)は8月14日、東京都内で第33回オリンピック競技大会(2024/パリ)のTEAM JAPAN帰国時記者会見、解団式、報告会を行いました。それぞれTEAM JAPAN尾縣貢団長、土肥美智子副団長、谷本歩実副団長、井上康生副団長、江村美咲旗手、半井重幸旗手(ダンサーネーム Shigekix)、そしてメダリストが参加しました。
■帰国時記者会見
帰国時記者会見の冒頭では、尾縣団長が「今回は、人類がコロナを完全に克服したことを証明したようなオリンピックでした。各会場の満員の観衆や割れんばかりの声援は、オリンピックの大興奮を蘇らせてくれました。パリ市などを舞台にした華やかでいつまでも記憶に残るであろう第33回オリンピック競技大会は幕を閉じました。TEAM JAPANの競技成績は素晴らしいものでしたが、加えてアスリートたちの競技への向き合い方、対戦相手の敬意、観客への振る舞い等には『憧れられるアスリート』を感じました。このアスリートの活躍が多くの人々にスポーツの魅力や感動、オリンピックの価値を届けることができたであれば、心から嬉しく思います。国民の皆様からの応援や想いはしっかりとフランスにも届き、大きな力となりました。ご支援、応援いただいた全ての方々にこの場を借りてお礼申し上げます。また、アスリートたちの活動を支えていただきましたコーチやサポートスタッフ、TEAM JAPANの全スタッフ、JSCサポートハウスの皆様、JOC G-Road Stationの皆様など、多くの方々に心からお礼申し上げます。最後に8月28日から始まるパラリンピック日本代表選手団の活躍を祈念いたします」と挨拶しました。
続けて江村旗手が「今回私達は『一歩、踏み出す勇気を。』のコンセプトに基づいて、TEAM JAPAN一同、全力で自分の挑戦に向かってまいりました。その中で、自分の思っていた以上の力が発揮できた選手もいれば、そうはいかなかった選手もいると思います。しかし、その限られたチャンスの中で、全力で立ち向かう選手たちの姿というのは、結果に関わらず、少しでも日本や世界中の皆様に、一歩踏み出す勇気を与えられる姿だったのではないかと思います。私自身も勇気をもらって、競技を超えてTEAM JAPANとしてお互いに高め合い、非常に良いオリンピックになったのではないかと思います。また、日本から時差がある中、夜遅くまで応援してくださった皆様や、現地で応援してくださった多くの方々に私達も勇気をもらいました。改めてここでお礼を言わせていただきたいです。本当にありがとうございました」と、
半井旗手は「私個人としてはいろいろ悔しい想いというのももちろんあったのですが、本当にパリ2024オリンピックという大会に挑戦したことに非常に意味がありました。旗手としての経験でいうと、開会式から自分の競技、そして閉会式までオリンピックという祭典を楽しみ尽くしたし、この経験は本当にかけがえのないものだったなと感じます。そしてこのオリンピックという祭典は、ナンバーワンを争い、ナンバーワンに向けて全力で努力をする皆さんの姿に日本や世界中の方々が勇気づけられエネルギーをもらえる素晴らしい大会だと思っているのですが、その中で活躍されたメダリストの皆様には祝福の気持ちでいっぱいです。一方でトップを目指すという中では悔しい思いをする方々もたくさんおり、この舞台に立つ時点で既にオンリーワンの存在で、その中でナンバーワンを決める大会がこのオリンピックだと改めて感じました。私自身がやっているこのブレイキンという競技は、自分の存在そのものにどれだけ価値をつけて、その中でオンリーワン同士がナンバーワンを決めることに対して人々が胸を熱くするという点に非常に魅力があると思っているのですが、このオリンピックではそういったメッセージを伝えられたらと思って活動させていただいていたので、それが少しでも自分の活動やブレイキンが伝えることができたのなら良かったと思います」と挨拶しました。
その後、出席したメダリストが一言ずつコメントを述べていき、帰国時記者会見は締めくくられました。
■TEAM JAPAN 解団式
最初に国歌斉唱が行われ、続いて主催者を代表して三屋裕子JOC副会長が登壇。「去る8月11日に、フランス共和国パリ市を中心に開幕した第33回オリンピック競技大会は聖火とともにその17日間の幕を閉じ、TEAM JAPANは全員無事に帰国し本日の解団式を迎えることができました。100年ぶり3回目となるパリでのオリンピックは、歴史ある建造物を活用した競技会場や環境に配慮した大会運営を行うとともに、多くの観客が入る会場での鳴り響く声援の中、世界各国・地域の選手たちが多くの感動のドラマを生み、記憶に残る素晴らしい大会となりました。中でもTEAM JAPANの選手ひとりひとりが真摯に競技に挑む姿は国民に夢と希望をもたらし、深い感銘をお届けできたものと確信しております。選手、監督、コーチの皆さんは、大会を通して得た貴重な経験を胸に、今後より一層の活躍に繋げていただきますよう期待いたします。また、結果につきましては、期待以上、期待通り、期待にそぐわなかった、様々な結果となったものと思いますが、一つだけ胸を張って皆さんたちに思っていただきたいのは、皆さんたちがこのオリンピックに誇りとそして勇気を持ってチャレンジしたということは全ての選手に当てはまるものではないでしょうか。そして皆さんたちにもう一つ、皆さんたちのオリンピックまでのプロセスや時間に心からの敬意と感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。終わりにTEAM JAPANに限りないご声援をいただきました国民の皆様、そして編成や派遣に多大なるご尽力をいただきました関係各位に心より御礼申し上げます」と挨拶しました。
次に、来賓を代表して室伏広治スポーツ庁長官が登壇し、「まずは皆様、本当にお疲れ様でした。そして素晴らしい活躍と感動をありがとうございました。今大会でTEAM JAPANは海外で開催されたオリンピックとしては、過去最多となる金メダル20個を含む45個のメダルを獲得、入賞も過去最多という素晴らしい成績を収められました。この結果は日本を代表して戦った全ての選手、スタッフなど関係者全員の努力の成果かと思います。また、惜しくもメダルや入賞に届かなかった選手の皆さん、オリンピックという舞台で周囲から期待がかかる中、日本代表として全力を尽くされたことに心から敬意を表します。多くの国民がテレビなどを通じて、あるいは現地の競技会場から声援を送りました。自らの限界に挑戦する皆さんの姿は大きな夢や感動、そして勇気を与えてくれました。私も現地でいくつかの競技を視察し、選手の皆さんを全力で応援しました。その勇姿は今でも目に焼きついております。本日をもってTEAM JAPANは解団となりますが、2年後に愛知・名古屋で開催されますアジア競技大会を経て、次はロサンゼルスでのオリンピックです。パリ2024オリンピックで得られた貴重な経験を生かして、今後も皆様が一層ご活躍されますことを心から期待しております」と挨拶しました。
続いて尾縣団長が登壇し、「平和の祭典としてフランス共和国・パリ市を中心に開催されました第33回オリンピック競技大会が去る8月11日に無事に閉幕いたしました。本日、TEAM JAPAN解団式を開催いただき、TEAM JAPANを代表して深くお礼申し上げます。私達はパリ2024オリンピックに向けたTEAM JAPANコンセプトとして『⼀歩、踏み出す勇気を〜共に更なる⾼みへ〜』を設定し、大会までの準備期間でのTEAM JAPANとしての意識の浸透および一体感を醸成し、大会本番に臨みました。そして国外での開催となったオリンピック競技大会としては、最大規模となるTEAM JAPANを編成し、金メダル20個、銀メダル12個、銅メダル13個の合計45個のメダルを獲得し、115の入賞を果たしました。今大会では柔道、体操競技、フェンシング、レスリングなどの活躍が目立ちましたが、馬術やセーリング、近代五種などもメダルを獲得するなど、メダル獲得競技や種目の広がりを見せたことは、これまでの継続した強化が着実に成果を上げている証であったと思います。今大会の結果は、各競技団体の日頃の努力、そして日本国政府、日本スポーツ振興センターを含む関係団体のご支援の賜物だと思います。パリ2024オリンピックは広く開かれた世界を目指した大会運営を行い、セーヌ川での開会式など様々な新しいインパクトを残しました。オリンピック競技大会に参加することは、アスリートとしての最大限のパフォーマンスを発揮するとともに、多様性が増す社会の中でアスリートが果たす役割を考えることでもあります。そのような中、今回のTEAM JAPANの活動が、日本国民に一歩、踏み出す勇気を届けられたのなら本当に素晴らしく意義のあることと考えます。JOCは今後も『スポーツの価値を守り、創り、伝える』というビジョンのもと、オリンピズムが浸透している社会の実現、憧れられるアスリートの育成、そしてスポーツが社会課題解決へ貢献するための活動を続けてまいりますので、引き続きのご支援をお願い申し上げます。最後になりましたが、TEAM JAPANに格別のご支援、ご協力をいただきました関係者各位、そして日頃からアスリートおよび競技団体、JOCの活動をサポートしていただいております皆様に心より感謝を申し上げますとともに、8月28日開催のパラリンピック日本代表選手団の活躍を祈念いたします」と大会報告を行いました。
その後、メダリストの紹介が行われ、三屋副会長よりメダリストへオリンピック特別賞の授与が行われました。
続けて、秩父宮殿下よりご下賜の団旗が江村旗手、半井旗手より尾縣団長に、そして三屋副会長に返還されました。
最後にTEAM JAPANを代表して、尾縣団長が第33回オリンピック競技大会(2024/パリ)TEAM JAPANの解団を宣言しました。
解団式後、パリ2024オリンピックTEAM JAPAN公式応援ソング『心拍音』を制作した三浦大知さんが登場。三浦さんは「一視聴者として日本からたくさんの競技を応援し、皆さんが大きな一歩を踏み出して戦う様子を連日拝見させていただき、多くのパワーや感動をいただきました。オリンピックに向かって高鳴っていく皆さんの鼓動と共にこの音楽を鳴らしていただけたら嬉しいと思い、『心拍音』という楽曲を作らせていただきました」と挨拶し、その後『心拍音』を披露しました。
■TEAM JAPAN報告会
報告会ではTEAM JAPANが入場後、パリ2024オリンピックのハイライト映像が場内に流れました。
次に主催者を代表して三屋副会長が登壇。「まずは選手の皆さん、非常に良い成績を残していただきありがとうございました。また、それを支えていただいた競技団体、関係者の皆様ありがとうございました。そしてこのTEAM JAPANをお支えいただいている各スポンサー企業の皆様方のご支援があってこその、このTEAM JAPANの成績だったと心よりお礼を申し上げます。ここにいるメダリスト以外にも、オリンピックという夢に見た大会にチャレンジした選手たちがたくさんいます。オリンピックで結果を残すということは非常に大事なことです。それと等しくオリンピックまでに流した涙や汗、そして何度も心が折れながら自分を乗り越えてきた凄さといったものが、選手たちにはございます。その辺りも含めて、引き続きこのTEAM JAPANを支えていただけたら幸いです」と挨拶しました。
続いてTEAM JAPANを代表して尾縣団長が登壇。「皆様の声援、そして想いは確実にフランスに届きました。大会前、大会中のご支援、ご声援ありがとうございます。勝利を掴んだ選手も、うまくいかなかった選手もいます。しかしながら全ての選手が全力を尽くしたことを、胸を張って報告いたします。私達TEAM JAPANは『⼀歩、踏み出す勇気を〜共に更なる⾼みへ〜』を合言葉に頑張ってまいりました。選手の活躍を見て、皆さん一歩踏み出す勇気は持ちましたでしょうか。この勇気を持って、多くの人たちが更なる高みを目指していただければ本当に嬉しく思います。特に多くの子どもたちが選手たちの活躍を見たことで希望や夢を持って、憧れるアスリートの背中を追っていただければこんなに嬉しいことはありません。私達はこのような活動を通して『スポーツの価値を守り、創り、伝える』というJOCのビジョンを実現するために、今後も活動してまいります。パリ2024オリンピックが終わって選手たちは更なる高みを目指してまいります。一方このタイミングで一線を退く選手もいるかと思います。アスリート全員の背中を温かく押してあげてください。引き続きTEAM JAPANの活動へのご支援をお願いしますとともに、8月28日開催のパラリンピック日本代表選手団の活躍を祈念いたします」と挨拶しました。
報告会の中では、TEAM JAPANの活躍に特に貢献した個人や団体に授与される団長賞の発表がありました。
1つ目の団長賞は、競技力でTEAM JAPANに貢献したレスリングチームに贈られました。男子フリースタイル74kg級で銀メダルの高谷大地選手がレスリングチームを代表して「我々レスリングチームとしては、各選手が持てる力を最大限に引き出せたことで、このような結果になったと思っております。その上で、各選手が信頼しているコーチたちには我々がメダルを目指せるように大変多くのサポートをしていただき、そのおかげでこのような賞をもらえたと思っております。この結果に満足することなく、さらに上を目指して、1人1人が一歩踏み出して次のステージに向かっていこうと思っております」とコメントしました。
2つ目の団長賞は、TEAM JAPANの一体感醸成に貢献した、江村美咲旗手と半井重幸旗手に贈られました。半井旗手は「団長賞をいただき嬉しい気持ちでいっぱいです。開会式は雨が降りましたが、そのようなドラマチックなスタートだったからこそ、全員が同じ思い出を共有できました。そこで一致団結できたことによって、各競技で活躍したり、お互いが高められるような空気感のままオリンピック期間を過ごせたのかなと思っています。開会式から閉会式まで旗手としても非常に良い時間が過ごせたので、皆さんのおかげでいただいた賞だと思います。本当にありがとうございます」とコメントしました。
3つ目の団長賞は、一歩踏み出す勇気を多くの国民に届けてくれた総合馬術団体チーム(大岩義明選手、北島隆三選手、戸本一真選手、田中利幸選手)に贈られました。大岩選手は「このような賞をいただくことになりまして驚いております。表彰式などで話すチャンスはこれまであまりなかったものですから緊張しております。我々は若くはありませんが、諦めずに一歩一歩前進することができるということを、競技を通じて国民の皆様にお見せすることができたのではないかと思っております。ここまでで来られたのは皆さんの応援のおかげです。この場所をお借りして、感謝の言葉とさせていただきます。本当にありがとうございました」とコメントしました。
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