日本オリンピック委員会(JOC)は10月14日(月・祝)、スポーツ庁、日本スポーツ振興センター、日本スポーツ協会などと共催で、令和6年度「スポーツの日」中央記念行事を開催しました。「スポーツの日」中央記念行事は、1964年に開催された東京オリンピックを記念し、国民がスポーツに親しみ健康な心身を培うという趣旨で祝日に制定された「スポーツの日」に開催しています。
会場となった東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンターでは、抽選で選ばれた参加者が各プログラムを楽しんだほか、一部のプログラムではオンラインでの参加もありました。
■開会式/スポーツ庁長官によるセルフチェックと改善エクササイズ
まず、午前の部の冒頭に開会式が行われました。開会式にはゲストアスリートとして、岡澤セオン選手(ボクシング)、高谷大地選手(レスリング)、元木咲良選手(レスリング)、宇山賢さん(フェンシング)、瀬戸勇次郎選手(パラ柔道)、工藤博子選手(パラ柔道)の6名が参加。さらにNHK Eテレ「おかあさんといっしょ」第12代体操のお兄さんの福尾誠さんもスペシャルゲストとして参加しました。
はじめに室伏広治スポーツ庁長官からのビデオメッセージが流れ、「味の素ナショナルトレーニングセンターでは、オリンピアンやパラリンピアンが日々トレーニングをしています。最先端のトレーニング施設で、日頃から運動している方もそうでない方も、今日は一緒に体を動かして、スポーツを楽しんでまいりましょう」と、主催者を代表して挨拶を行いました。
続いて、来賓を代表して山田加奈子北区区長が、「本日のプログラムがスポーツを通した親子の絆づくり、健康づくり、仲間づくりに繋がれば嬉しく思います。我々北区としてもスポーツ庁始めとした各団体の皆様とともに、スポーツ振興や健康づくりに貢献させていただきたいと思います。今日は1日、怪我のないよう楽しんでください」と挨拶しました。
開会式に続き、『スポーツ庁長官によるセルフチェックと改善エクササイズ』プログラムが行われました。『セルフチェック』は室伏長官が独自に考案したメソッドで、健康的な日常生活のために自分の身体の状態を把握し、意識的に身体を動かすきっかけ作りを目的としたもので、老若男女問わず自分のペースで簡単に取り組むことができます。今回は11種類あるプログラムの1つである『上半身と下半身の可動性と身体の安定性』のセルフチェックを行いました。片方の肘を90度に曲げてから腕を上げた状態にセットし、肘を下ろすと同時に同じ側の膝を上げて肘が膝頭につくか、そしてバランスを崩さないでその状態を背中を丸めないように5秒間キープできるかを確認しました。会場の参加者も早速挑戦し、多くの子どもたちが映像で流れた室伏長官のお手本通りに上手にできていました。
セルフチェックの後には紙風船を使用するユニークなエクササイズが紹介されました。手法自体は子どもでも取り組めるわかりやすいものでしたが、一方で普段使用しない筋肉を使うなどエクササイズの効果は高く、ゲストアスリートのアドバイスやサポートを受けながら参加者たちが一生懸命取り組みました。また宇山さんが考案したフェンシングの動きを取り入れたものや、最大16人という参加者同士で協力して行うものなど応用編の動きにも挑戦し、約30分のエクササイズが終了しました。
その後、参加者は『スクエアステッピングエクササイズ』『オリ‧パラスポーツ練習見学&体験教室』『アクティブ・チャイルド・プログラム』『レッツ‧チャレンジ!おもしろスポーツ』『バーチャルスポーツプログラム』のうち、当選したプログラムの実施会場へ移動しました。
■「勝ち飯®」教室
午後の部では『勝ち飯®教室』『オリ‧パラスポーツ練習見学&体験教室』『アクティブ・チャイルド・プログラム』『レッツ‧チャレンジ!おもしろスポーツ』『バーチャルスポーツプログラム』『安全登山体験』の6つのプログラムが行われました。
『「勝ち飯®」教室』オリンピアンの松田丈志さんと入江陵介さん(ともに水泳/競泳)が進行・講師を務め、アスリートを支える「勝ち飯®」についての勉強会が行われました。なお、本プログラムでは、オンサイトだけでなく福岡県や三重県志摩市の会場からもリモートでの参加がありました。
「勝ち飯®」とは「何のために食べるか」をベースに、1日3回の栄養補給のベースである「食事」と、目的に応じた栄養素を必要なときに摂取する「補食」を考える食事プログラムのことです。
まず「どのぐらい食べればよいか」ということについて、体重を見て判断をする必要があるという説明がありました。体重の変化を日常的にチェックし、体重を増やしたいのか減らしたいのか維持したいのかその時の目的に合わせて食事のボリュームを見つけていきましょうと説明した上で松田さんは、「成長過程にある子どもたちの場合は、少し食べ過ぎなぐらいがちょうどいいです」と語りました。
続けて、どのように「たんぱく質」「糖質」「ビタミン」の3つの栄養バランスを整えたら良いのかという部分で、1日3回の食事においては「主食」「汁物」「主菜」「牛乳・乳製品」「副菜」の「5つの輪」を揃えることを意識すること、そして食事は汁物からスタートすると効果的だという、食事における「勝ち飯®」の実践テクニックが紹介されました。
その後、目的に応じて必要な栄養を必要なタイミングで摂るための「補食」について説明がありました。エネルギーやたんぱく質の補給を目的とした際に推奨される補食の例などが紹介された後、味の素株式会社がアスリートのコンディションをサポートするために考えた「勝ち飯®」メニューである「Power Ball®」が紹介されました。「Power Ball®」はだしのうま味が効いた小分けのおにぎりで、試合の合間や練習時など、時間のないときでも手軽に食べることができるのが特徴です。これらの補食の紹介と同時に、補食を摂る計画をあらかじめ立てておく「プランニング」が重要であると説明がありました。
最後に講義内容をおさらいするクイズや、松田さんと入江さんへの質疑応答が行われ、本プログラムが締めくくられました。
■オリ‧パラスポーツ練習見学&体験教室
当日は各専用練習場内でオリンピアンやパラリンピアン協力のもと、スポーツ体験教室が実施されました。
ハンドボールの体験教室では、大半の参加者が初めてハンドボールに触れるという中、日本代表チームのコーチやスタッフが指導を行いました。初めて触るサイズのボールに苦戦しつつもドリブルやパスの練習に取り組み、最後にはシュートにも挑戦しました。
レスリング体験会はオリンピアンである高谷大地選手、石黒隼士選手、元木咲良選手が中心となって指導が行われました。午前は初心者向けの体験会が行われ、初めてレスリングに挑戦する子ども達が、オリンピアン達の元気な指導によって夢中になって体を動かしました。午後の体験会は経験者向けで、終盤には2人1組でのタックルのトレーニングが行われました。中にはオリンピアンに勝負を挑む参加者も出てくるなど、貴重な経験をすることができました。
陸上競技体験教室はオリンピアンである青木益未選手(女子100mハードル)や泉谷駿介選手(男子110mハードル)、2023年アジア陸上競技選手権大会で優勝した丸山優真選手(男子十種競技)たちが指導を行いました。3つのグループに分かれた子ども達が10m走やハードル走の「走る」コーナー、棒高跳びの「跳ぶ」コーナー、やり投げの「投げる」コーナーを順番に回り、青空の下で複数の陸上競技を体験しました。
オリンピアンの鈴木梨羅選手が中心になって行われたのはウエイトリフティング教室。2〜3人ごとの少人数のグループに分かれた子ども達が鈴木選手や学生アスリート達から指導を受け、ウエイトリフティングの基本的な動きであるクリーン&ジャークを練習。最後には試合形式の発表会を行い、練習の成果を披露しました。
ボクシング体験では、駆け引きの練習や相手のバランスを崩すテクニックなど、他競技にも活かせるようなボクシングのトレーニングに挑戦。10組20名という少人数の参加者に対し、オリンピアンである岡澤セオン選手を始めとした複数のアスリートやスタッフが密着指導したため、充実した時間を過ごすことができました。
バレーボール教室ではアジアクラブ選手権などに出場した渡辺真由美さん、広州アジア大会に出場した横山雅美さんの2人が指導を行い、トスやスパイクなどの練習を行いました。数秒前の映像がスクリーンに流れるなどトップアスリートと同じような環境の中で練習を行い、非常に貴重な体験をすることができました。
屋内テニスコートではオリパラテニス教室が行われました。パラテニスの体験では競技用の車椅子の説明を受けた後、車椅子の操作の練習を行い、最終的には車椅子の操作からのショットを体験。テニス経験のある参加者も車椅子の操作と一緒に行うショットには苦戦していましたが、滅多にできない経験に対し一生懸命に向き合いました。
フェンシング体験教室ではオリンピアンの宇山賢さんが中心となってスマートフェンシングの体験を行いました。スマートフェンシングは大日本印刷株式会社が開発したもので、柔らかい剣と導電性のあるジャケットを使用することで簡単にフェンシングの疑似体験ができるものです。宇山さんによるデモンストレーションの後、子どもたちが3点先取のゲームを行い、白熱した様子を見せました。
バドミントン教室ではオリンピアンである松友美佐紀選手と舛田圭太さんが指導を行いました。最初に松友選手がデモンストレーションとして様々なショットを披露。その後はスマッシュを習得することを目指して練習を行いました。初心者の子どもたちはコーチの手投げしたシャトルを打つなどバドミントンの楽しさに触れ、経験者は松友選手とラリーを行うなど、それぞれ充実した練習をすることができました。
柔道場では瀬戸勇次郎選手と工藤博子選手(ともにパラリンピアン)によるパラ柔道の体験教室が行われました。子どもたちは柔道着を着用して受け身や組手などを練習。最後の方には選手を実際に投げたり、アイマスクをつけてパラリンピアンの視野を体験するなど、パラ柔道を本格的に体験することができました。
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