日本オリンピック委員会(JOC)は9月26日より、日本オリンピックミュージアム(JOM)で、企画展「東京2025世界陸上&東京2025デフリンピック展」を開催しています。
本企画展は大きく二つのブロックに分かれており、ウェルカムサロン奥の壁面には東京2025世界陸上、手前のカーペットエリア全面にデフリンピックの展示をしています。東京2025世界陸上の展示では、大会で躍動したTEAM JAPANの競技写真とともに実際に着用したシューズやスパイク、ウェアを展示しており、デフリンピックの展示ではこれまでのデフリンピックの流れや東京2025デフリンピックで実施される競技の紹介とともに出場選手からのコメントを掲出しています。さらに、デフリンピックの陸上競技に使用される各種競技アイテムのほか、デフリンピックならではのピストルの音ではなく、光の点滅によってスタートを知らせる装置も展示しています。なお、本企画展は障がいの有無や言語・文化の違いを超えて、誰もが楽しめる東京を目指すキャンペーン「オールウェルカムTOKYO」に賛同し、鑑賞におけるサポートとして誰もが芸術文化に触れることができる社会の実現に向けて、「東京文化戦略2030」の取組「クリエイティブ・ウェルビーイング・トーキョー」の一環としてアーツカウンシル東京の助成を受けています。
企画展オープンの、26日の午前中には関係者内覧会が実施されました。内覧会には、村竹ラシッド選手(東京2025世界陸上男子110mハードル代表)と松元卓巳選手(東京2025デフリンピック日本選手団旗手、デフサッカー男子主将)がゲストとして参加しました。
はじめに、主催者を代表して小谷実可子JOC常務理事が手話にて挨拶を披露した後「『1秒後、世界が変わる。』というキャッチコピーで開催された東京2025世界陸上は、躍動するアスリートに魅了され、満員の国立競技場に感動し、さらに無観客で開催された東京2020大会のレガシーがこのように引き継がれていることを大変嬉しく思いました。また、1924年の国際サイレント競技大会開催から100周年を迎える記念すべき年に、聴覚障がい者スポーツの祭典『デフリンピック』が東京で開催されます。この展覧会を通じて、スポーツを通じた共生社会の実現を目指し、東京2025世界陸上でのTEAM JAPANの熱戦を振り返るとともに、東京2025デフリンピックの魅力を多くの方に伝え、さらなる理解と関心を深めていただけることを願っています」と語り、最後に関係団体への感謝を述べ、来場者にゲストトークと展示を楽しんでほしいと挨拶を締めくくりました。
続いて、企画展の協力団体を代表して一般財団法人全日本ろうあ連盟の河原雅浩副理事長が登壇し「デフリンピック開催まで残すところ50日となりました。日本初の開催となる今大会、デフリンピックの認知度は4年間で38.4%に上昇するなど、皆様からの温かい関心をいただいていることを嬉しく思います。大会開催を機に、都内公共施設でのユニバーサルコミュニケーション機器の導入も進み、共生社会実現へ向けた大きな一歩だと感じています。今回は過去最高規模となる391名の選手が全21競技に出場します。デフアスリートが手話言語でコミュニケーションを取り、最高のパフォーマンスを競い合うこの祭典を、ぜひ皆様には『サインエール』や手話言語で応援をお願いいたします。皆様の応援とご協力こそが、きこえる人もきこえない人も共に感動を分かち合える大会成功の鍵となります。引き続きのご支援をよろしくお願い申し上げます」と挨拶を述べました。
続いて、ゲストのお2人にそれぞれ東京2025世界陸上の振り返り、東京2025デフリンピックに向けて、この企画展に期待することなどについて小谷JOC常務理事よりインタビューが行われました。
はじめに村竹選手は東京2025世界陸上を振り返り、「成績は不本意でしたがたくさんの方に応援していただき、会場では二度とないであろうものすごい歓声をいただき良い大会になりました」と語り、テレビで観戦したという松元選手は「団体競技とは違って自分との闘いで重圧のある中、輝かしい成績を残された姿を見ました。刺激をもらい、自分自身も世界一を目指す中で考えさせられる瞬間でした」と語りました。さらに、東京2025世界陸上の盛り上がりを見た松元選手は「声や身振りに加え、選手たちが目で見えるサインエールを用いて応援していただけると嬉しいです」とデフリンピックでの応援について語り、拍手だけでなく「行けー!」のサインを加えることで、より選手と観客が一体となって盛り上がることができると述べました。
続けて、東京2025デフリンピックの見どころについて松元選手は「選手同士は手話を使って会話をし、瞬時にアイコンタクトをしなければいけない信頼のスポーツであるため、普段の練習から仲間のプレーを見てフォローしています。試合中は、選手がどのようにコミュニケーションを取っているかを見ていただけると楽しんでもらえると思います」と語りました。
その後、小谷JOC常務理事よりレース前の決めポーズについて問われ、村竹選手から松元選手へ決めポーズを伝授する場面もあり、和やかな雰囲気でインタビューが進んでいきました。
最後に本企画展への思いを聞かれ、村竹選手は「東京2025世界陸上は終わりましたが、これから東京2025デフリンピックが始まりますので、この企画展を通して東京2025世界陸上に負けないくらい注目していただきたいです。自身も見て応援したいと思うので、皆さんも東京2025世界陸上だけで終わらずに一緒に東京2025デフリンピックも盛り上げていただけたら嬉しいです」と語り、松元選手は「認知度がまだまだ低いのが現状で、自身も東京2025世界陸上のような素晴らしい舞台で試合をしたいと改めて思いました。選手だけでなく支えてくれる人やサポーターの皆さんと一緒にすべての競技が世界一を取れるように戦っていきたいので、皆さんの力を貸してください。よろしくお願いします」と意気込みを語りました。
質疑応答の時間では、子どもたちが陸上競技を楽しむ上で一番大切にしてほしいことを問われた村竹選手が「陸上競技の魅力はたくさんの種目があることで、見る側も競技をする側も選択肢が多いため、自分に合う種目は必ずあると思います。人気であるかどうかに捉われず、自分のやってみたい種目に積極的にチャレンジしてほしいと思います」と答え、続けて東京2025デフリンピックを通して子どもたちにどのようなメッセージを送るかを問われた松元選手は「障がいをもって諦めてしまう人がいる中で、スポーツで自分を出せる場所があることを示したいと強く思います。憧れられる存在になり、その姿をきっかけに困難なことを乗り越えられる力になれたらいいと思います」とコメントし、イベントが締めくくられました。
なお、本企画展は9月26日から12月21日までの開催となっております。皆様のご来館をお待ちしています!
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