アテネ2004
代表選手選考会・出場権獲得レポート
メダルの可能性が高い女子サッカー。参加10ヵ国の頂点を目指せ!
4月24日(土)、女子サッカーとしては国内最多となる3万人を超える観客がつめかけた国立競技場で、日本代表が2大会ぶり2回目のオリンピック出場を決めた。
勝った方がアテネ切符を手にし、負けると可能性がゼロになる「アジア地区最終予選」準決勝の対朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)戦。
日本は、北朝鮮に対し、一昨年の釜山アジア大会、昨年のアジア選手権準決勝でも敗れるなど苦い経験がある。
1997年以降7戦7敗という対戦成績を持つ。その強豪を3−0という快勝で下しての出場権獲得は、本当に価値がある。上田栄治監督も、試合後、「これまでのベストゲームだった」と満足気に語った。
日本は、北朝鮮を研究し尽くして臨んだ。まず攻撃では、北朝鮮の中央のディフェンスが安定感に欠けるとみると、リスタートのボールをフォアサイドに合わせ、勝利を決定づける3点目をゲット。また、守備では、相手のキープレイヤーのポジショニングの傾向をつかみ、そこを徹底的にマークして完封劇を演じてみせた。
昨夏のワールドカップ終了後、「世界のトップクラスに対抗するため」(上田監督)にディフェンスを3バックから4バックにしたことも成功した。
ゲームキャプテンとしてチームを引っ張った磯崎浩美(TASAKIペルーレFC)は、「ずっと3バックでやってきていたので不安や戸惑いもあったが、監督を信じてやってきた。その成果が、北朝鮮戦では出た。まだ、ラインの上げ下げや前線との距離などに課題があるので、本番までに修正したい」と手ごたえを掴んだ様子。
4バックでは、サイドバックがオーバーラップできる回数も増えるということで、守備面だけでなく攻撃面でも日本が武器とするサイド攻撃の厚みを増すことにつながった。
これで、サッカーは男女アベック出場となった。女子は、男子よりも6チーム少ない10ヵ国のみで金メダルを争う。ドイツ、アメリカ、スウェーデン、中国など強豪が集まっているとはいえ、6月9日に行われる組み合わせ抽選の結果次第では、メダルのチャンスも十分にある。そのためには、チームとして戦術・戦略を深めるのはもちろんのこと、選手一人一人がより一層フィジカル&フィットネスの強化に努め、1対1の局面で負けないことが求められる。
Text:中川和彦 Photo:Jリーグフォト