アテネ2004
代表選手選考会・出場権獲得レポート
和をモチーフにした演技で世界に挑む
昨年の世界選手権の結果により、個人1名のオリンピック代表権を獲得した日本の新体操。その代表選手を決める最終選考会が、4月18日(日)に東京・代々木第一体育館で行われた。
第一次予選となった昨年の日本選手権で20位以内に入った選手のうち16名が出場。そのなかで、日本にオリンピック出場枠をもたらした村田由香里(東京女子体大研究生)が、2位に7.750点差をつける圧倒的な強さで優勝し、チームの一員として参加したシドニー大会に続く2大会連続の出場を決めた。
前回の大会以降、村田は成長した。その姿を間近で見てきた秋山エリカコーチは、「自立しつつある。今までは、試合への準備の仕方や目標設定が分からずに練習をこなしているだけのところが多かったが、今は自分で目標を立てられるところまで来ている。その結果、困難な演技でも、投げ出すことなく我慢して乗り越えようとする力もついてきた」と話す。
精神面の成長は、技術面や自らの演技に対する考え方にも好影響を与え、もともと定評のあったジャンプ力が甦り、ピボットなどの回転技も安定してきた。また、「自分がいちばんノリやすくて自分にあった演技を選ばないと踊っていても楽しくないし、自分が表現したいものじゃないと観客にも伝わらない」と考えた村田は、"和"をモチーフにした演技を選んだ。
体型や柔軟性という部分では、どうしても海外選手に太刀打ちできない。であるならば、日本人としての力強さや、これが日本だという部分を表現しようという考えに行き着いたのだ。すわわち、演技を通じていかに最高の自己表現をするか。それは、日本の第一人者としての自覚の表れでもあると言えるだろう。
「世界中が注目するフロアで演技できること、そこで一人に集中してもらえるというのは、最高のこと。その舞台で、『村田由香里という選手がいたね』と覚えてもらえるような強い印象を与えられる演技ができたらいいいと思う」と決意を話す村田。
そのためには、まず、「6月のアジア選手権でフープ、ボール、クラブ、リボンの4つの作品を完璧にこなし、そこで見つかるであろう課題を修正すること」(秋山コーチ)だ。
そのうえで、技術の高さが点数や順位に反映されような、観る者全てを満足させる"出来栄え"を追求していければ、アテネでは上位進出を果たすことも十分可能である。
Text:中川和彦 Photo:AFLO SPORT