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ロンドン2012


見どころ

今大会のチーム 〜新たなる挑戦〜

 4度目の出場を果たした今大会。惜しくもメダルを逃したなでしこジャパン(日本女子代表)は、本格的にチャンピオンにチャレンジする。就任5年目となる佐々木監督は言う。「メダルを獲得したチームはみんなチャンピオンを目指していた。我々が設定していた目標はベスト4。それでは、メダルは獲れない」。北京大会終了後の2009年2月、キャンプに集まった選手たちは澤穂希キャプテン(当時、2012年よりキャプテンは宮間あや)を中心にミーティングを開いた。選手同士の話し合いで『世界チャンピオン』を目指すことを決め、以後、女子サッカーはこの目標に向かって歩んできた。永里優季(現姓・大儀見)安藤梢らは日本サッカー協会のサポートを得てドイツリーグへの移籍を決め、また国内リーグ組もそれぞれの環境のなかで成長を図り、チームとして片時も目標を忘れたことはなかった。

 翌年の2009年は国際親善試合のみで大会への出場はなかったが、翌2010年、東アジアサッカー選手権2010の優勝を皮切りに、AFC女子アジアカップ3位、そして11月には第16回アジア競技大会2010広州で初のアジアチャンピオンに輝いた。2011年前半は世界の強豪国と多く対戦することでさらなるレベルアップを図った。2月にはアルガルベカップに参加し、5月にはアメリカと2試合の国際親善試合を組み、世界大会へとつなげた。

 さらなる高みを目指して臨んだFIFA女子ワールドカップドイツ2011。最年長選手と最年少選手の年齢差が18歳という、ベテラン、若手、中堅がうまく融合したメンバーが揃った。登録メンバー21名中13名は北京オリンピックにも名を連ねた選手。北京での経験を活かし、決勝トーナメント最後まで戦うフィジカル、メンタル両方を厳しいトレーニングを通じて鍛えてきたなでしこジャパンは、グループリーグを2位で突破すると、準々決勝で大会3連覇を狙う地元・ドイツを、準決勝で欧州の強豪スウェーデンを破り、決勝では過去24試合で一度も勝利したことのないアメリカを相手に見事、優勝を勝ち取った。日本女子代表が結成されて30年という記念すべき年に残した、輝かしい成績であった。

 女子ワールドカップで優勝したものの、オリンピックでは何も得ていないなでしこジャパン。「ワールドカップで我々は試合の主導権を握って勝てたのではなく、ギリギリのところで勝利をもぎ取った。まだまだやらなくてはならないことは多い。世界の頂点を目指して、チャレンジしたい」と佐々木監督は語る。就任以降、佐々木監督は選手の自主性を重んじ、この4年間で徐々に選手主導のチーム作りへと移行を図ってきた。選手たちだけでミーティングを重ね、試合や練習を通じて課題を抽出し、ピッチ外でも時間をかけて細かい部分を詰めていく。すべてはロンドンで、頂点を目指すために。目標を定めてから積み上げてきた連携や組織力、各選手のテクニックに加え、なでしこジャパンが元来持つ、ひたむきさ、あきらめない心を携え、最高の舞台に挑む。

過去のオリンピックにおける日本女子サッカーの歴史

(1)日本女子サッカー界におけるオリンピック
 オリンピックにおける女子サッカーは、1996年のアトランタオリンピックから正式種目となり、今回で5回目の大会となる。日本は女子サッカー初の大会となったアトランタオリンピックに出場。4チームでのグループリーグでは初戦のドイツ戦に木岡二葉、野田朱美がゴールを挙げるも2−3で惜敗。その後もブラジル、ノルウェーといった強豪国に敗れ、グループリーグで敗退した。
 続くシドニー大会は、出場条件だった前年の世界選手権で上位7チームに入れず、出場を逃した。2004年に行われたアテネ大会では、初めて各大陸毎に出場国が割り当てられた。日本はアジア予選を戦い、出場枠2ヵ国に入り、本大会に出場した。グループリーグでは初戦のスウェーデン戦を荒川恵理子のゴールで1−0と勝利、オリンピック初勝利を挙げた。2戦目のナイジェリア戦は惜敗したものの、初のグループリーグ突破、ベスト8進出を果たした。準々決勝は優勝したアメリカと対戦し、1−2で敗れた。

(2)逃した銅メダル
 前回大会でベスト8進出を果たし、2008年の北京オリンピックは、日本女子サッカーの歴史において、大きなターニングポイントとなる大会だった。監督にはコーチを務めていた佐々木則夫が2007年12月付で就任。それまで指揮を執っていた大橋監督が作ってきたチームをベースに、相手の良さを消しながら、自分たちがしっかり動き、ボールを動かす「攻守にアクションするサッカー」を打ち出した。
 グループリーグ初戦はニュージーランドを相手にドロー発進。第2戦はアメリカに0−1で敗れるも、決勝トーナメント進出がかかるノルウェー戦を近賀ゆかり大野忍らの得点で勝利した。地元中国との戦いとなった準々決勝は澤穂希永里優季が得点を決め、中国の攻撃を守備陣が最後まで守り抜き、2−0の完封勝利で次へと駒を進めた。初めての経験となった「準決勝」の舞台、相手は一度も勝ったことのないアメリカ。大野忍のゴールで先制するも、前半に2得点、さらに後半にも立て続けに得点を決められ、初の決勝進出はならなかった。
 チームの集大成となった3位決定戦。連動した守備、攻撃で優勝候補のドイツを相手に互角の戦いを見せるも、後半に決められ、0−2で敗戦を喫した。世界大会で過去最高の4位という成績を残し、日本女子サッカー界に新たな歴史を刻んだ。同時に、チームが味わった悔しさはロンドンまでの4年間に向け、明確な目標を生み出した。

過去のオリンピックでの日本の戦績

◆1996年アトランタ大会 グループリーグ敗退(0勝3敗)
・グループリーグ vs ドイツ X2−3
vs ブラジル X0−2
vs ノルウェー X0−4

◆2004年アテネ大会 グループリーグ突破(1勝1敗)、ベスト8進出
・グループリーグ vs スウェーデン O1−0
vs ナイジェリア X0−1
・準々決勝 vs アメリカ X1−2

◆2008年北京大会 グループリーグ突破(1勝1敗1分け)、ベスト4進出
・グループリーグ vs ニュージーランド △2−2
vs アメリカ X0−1
vs ノルウェー O5−1
・準々決勝 vs 中国 O2−0
・準決勝 vs アメリカ X2−4
・3位決定戦 vs ドイツ X0−2

ロンドンオリンピック予選戦績

 女子サッカーのオリンピック最終予選は、セントラル方式で行われ、上位2チームがオリンピックに出場できる。2次予選から勝ち上がったタイとシード5カ国が参加し、中国・済南市で9月1日から11日のあいだで行われた。
 FIFA女子ワールドカップ優勝から続いた過密スケジュールへの対応など、万全のコンディションではなかった日本だが、無敗で最終予選を戦い抜き、朝鮮民主主義人民共和国とともに大会出場権をもぎ取った。

チーム名 勝点 勝利 引分 敗戦 得点 失点 得失点 順位
日  本 13 4 1 0 8 2 +6 1
朝鮮民主主義
人民共和国
11 3 2 0 10 3 +7 2
オーストラリア 9 3 0 2 8 4 +4 3
中  国 5 1 2 2 2 2 0 4
韓  国 4 1 1 3 7 7 0 5
タ  イ 0 0 0 5 1 18 -17 6

2011年9月1日 日本女子代表 vs タイ女子代表 O3−0
2011年9月3日 韓国女子代表 vs 日本女子代表 O1−2
2011年9月5日 日本女子代表 vs オーストラリア女子代表 O1−0
2011年9月8日 朝鮮民主主義人民共和国女子代表 vs 日本女子代表 △1−1
2011年9月11日 日本女子代表 vs 中国女子代表 O1−0
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