トリノ2006
スペシャルコラム
素晴らしいの景色のなかで
三ケ田礼一さん
ノルディック複合の競技解説者として参加しているトリノ冬季オリンピック。久しぶりに触れるオリンピックの空気にワクワクした気持ちになっている。
私が解説をするノルディック複合の会場は、プラジェラートという山岳地域にある。ここでは他にもジャンプ、クロスカントリーも行われる。
写真提供:アフロスポーツ
プラジェラートはトリノの中心地から車で2〜3時間離れた場所にあり、標高1700mに位置している。もともとヨーロッパの裕福な人たちが利用するリゾート地として有名な地域で、選手村のまわりにも高級ホテルが多く立ち並んでいる。そのためか選手村の建物も日本でいうリゾートマンションのような立派な造りになっている。
プラジェラートはもともと雪の多い地域ではないらしく、自然の雪はほんの少ししかない状態。そのためジャンプ、クロスカントリーともにほとんどが人工降雪機を使っている。それでも会場から見える景色は、“素晴らしい”の一言。
標高2000mにもなると木が生えず、山も岩肌が見えているが、その岩山を被う雪が朝日に照らされる様は本当に美しい。真っ青な青空の下にそびえる山はまさに圧巻だ。
写真提供:アフロスポーツ
ノルディック複合は最初にジャンプ、その後クロスカントリーがそれぞれ別の会場で行われるため、会場間の移動には車を使う。所要時間は約10分。観客のみなさんはシャトルバスを利用するのだが、このシャトルバス、いつ来るのかさっぱり分からないらしい。
また会場までかなり時間がかかるため観客は地元の人が多く、今までのオリンピックに比べると数はやや少なめな気がする。しかしその中で日本代表選手のご家族や所属チームによる応援は目立っている。
写真提供:アフロスポーツ
2月11日に最初の種目、ノルディック複合個人が行われ、小林範仁選手の16位が最高という結果だった。しかし日本勢にとって、この試合は小手調べ。高橋大斗選手の棄権も15日に行われる団体戦に備えてのことであり、コーチや選手たちと話していてもその表情は明るく、悲観した様子はない。個人より団体戦のほうがチャンスもある。日本チームの調子も上がってきており、力まずに普段どおりの力を出せば良い結果が出ると思っている。
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