2010/11/22
卓球、銅メダル8個と躍進、福原は金メダルへ意欲見せる
文・高野祐太
卓球は男女団体とシングルス、ダブルス5種目の計7種目を行い、日本勢は、福原愛選手が女子シングルス、石川佳純選手との同ダブルス、岸川聖也選手との混合ダブルスで計3個のメダルを獲るなど、銅メダル8個を獲得。メダル0だった前回大会から躍進した。福原選手関係以外では、男子シングルスの水谷隼選手、同ダブルスの松平健太選手・丹羽孝希選手組、女子ダブルスの藤井寛子選手・若宮三紗子選手組、混合ダブルスの松平選手・石川選手組が獲得。男子団体と合わせ、女子団体以外のすべての種目で表彰台に乗った。
一方で、1種目も決勝には進めず、混合ダブルスの岸川選手・福原選手組以外は、準決勝で負けた相手が中国。日本卓球の成長ぶりと、立ちはだかる中国の壁の高さの両面が浮き彫りになった。水谷選手は、男子シングルスの準々決勝まで各国のエース級を撃破しながら、準決勝は北京オリンピック銀メダルの王皓選手(中国)に0−4でストレート負け。「思い切り強打するようなリスクのあるスタイルに変更した方がいいかなと感じた」と2年後のロンドンオリンピックを見据えて、思い切った強化策を念頭に置いた。
強さを示した筆頭は、44年ぶり史上6人目となる全3種目でメダルを獲得した福原選手だ。女子シングルスでは、準決勝で世界ランキング4位の郭躍選手(中国)に3−4で競り負けたものの、一時はゲームカウント3−1とリードし、銀メダルに最も近づいた。序盤は互角以上のラリーを展開。左右の打球に威力があり、相手が触られないコースを突いたり、相手ラケットを弾く得点が随所に出た。第2ゲームでは、最大4点差をつけられながら逆転し、この試合に勢いを生んだ。ゲームの終盤にミスを減らしてくる相手に一歩及ばなかったが、中国スーパーリーグで何度も試合をした広州に大きな一歩を残した。
今年2月から4月頃に地力アップの兆しがあった。国際プロツアーで世界10位クラスの選手を何人も撃破。相手の嫌がるコースに左右のブロックショットを打ち分けることができるようになったことが大きかった。村上恭和監督は「以前は自分が全部打ちに行って勝とうとしていたが、相手を見ながらプレーできる気持ちの余裕が生まれた。精神的に成熟してきたことが要因」と分析する。
調子を落として臨んでいた今大会では、団体戦で自分の敗戦がメダルを逃すことにつながり、悔し涙を流した。傷ついた日本のエースとしてのプライドをぶつけたのが個人戦だった。
だが、この成績でそのプライドが満たされた訳ではない。「メダルはうれしいけど、やっぱり欲が出ます。ほんの少し『獲れた』と思ってしまった。今度は、そう思わず、もっといい色のメダルを獲りたいです」。22歳になった福原選手が次にどんなプレーを見せてくれるのか、注目だ。
女子シングルス準決勝で敗退し、郭選手と握手する福原選手(右)(共同)