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長野1998


採れたて長野通信

清水選手がやってくれました。スピードスケート男子500m1回目。日本のエース・清水宏保選手が、35秒76というオリンピックレコードをたたきだし、第1位になりました。この競技は2回の合計タイムで争われます。10日の2回目がますます楽しみになってきました。
また、野沢温泉で開催されたバイアスロン女子15kmでは、高橋涼子選手が6位。この種目、日本人初の入賞を果たしました。4年間の積み重ねが、一瞬の戦いで明暗を分けるオリンピック。笑顔も涙も、見る者にすがすがしい感動を与えてくれます。失敗をおそれず、がんばれ日本選手団。

現地直送!観戦レポート リュージュ男子1人乗り(スパイラル)

競技開始前の会場はお祭りのようでした
リュージュ、そしてボブスレーなどの競技が行われるのは、長野市内から飯綱高原へ向かう途中、浅川地区にある「スパイラル」です。オリンピックのために総工費200億円近くを費やして作られた、世界最南端の人工凍結コースです。
取材班が会場に到着したのは午後1時ごろ。会場にはすでに多くの人が詰めかけ、2時からの競技開始を待っていました。正直言って、リュージュ競技を生で見るのは初体験だった取材班。日本であまりポピュラーな競技ではないだけに「盛り上がっているんだろうか?」なんて少し心配していたのですが、会場に行ってみるとそんな心配はまったく無用でした。

最終コーナー脇に設けられた観戦スタンドはすでに満席。日本人の観客が多いのはもちろんですが、ちょっと見回しただけでも、ドイツ、アメリカ、イタリアなどの国旗を持ったグループが目立っています。これまでいくつかの競技会場を取材しましたが、もっともスタンドの国際色が豊かなように感じました。さらに、競技開始1時間前からは、観戦スタンド前の特設ステージで太鼓が始まったり、スタンドに陣取ったド イツ人グループが、アコーディオンやドラムの即興バンドで演奏したりして、会場をにぎやかに盛り上げていました。ゲート周辺では長野オリンピックのスノーレッツと、フェースペインティングをした子供たちが「輪になっておどろう」を一緒に歌って踊ったりもしていて、本当にお祭りのような雰囲気です。さわやかな森の中の競技会場で、思い思いにくつろぎ、はしゃぎながら観戦している人たちは、とても楽しそうでした。

メディアエリアでもこんな国際交流が!
オリンピックの会場では、いろんな屋台が出ていたりイベントが催されていて、競技を観戦するだけではない楽しみがいっぱいです。取材で各会場を移動していると、一般観客とは区別されたメディア用の場所にいることが多く、そうした盛り上がりをうっかり見すごしてしまいがちなのが少し残念だったりします。でも、今日のリュージュ会場でちょっとうれしい光景に出会いました。

サブプレスセンターという報道関係者用のブース前で、競技会場がある浅川地区のボランティアの方々が「とん汁」のサービスを行っていたのです。ありがたくごちそうになっていると、隣のドイツ人が「箸の使い方を教えてくれ」と話しかけてきました。居合わせたボランティアのおじさんと一緒に、緊急!箸の使い方講座の始まりです。ところが、いざ教えようとしてみると、自分の箸の使い方が正しいかどうか不安になってきたりして、大笑いしながらすっかりうち解けたのでした。
そのとき、テントの中から駆け出してきたおばちゃんが、そのドイツ人に色紙を差し出してサインをお願いしたのです。彼らはドイツのボブスレーチームのメカニック。「私のサイン? いやあ、照れるなぁ」とかいいながらも、うれしそうにサインをしていました。
この日の競技ではドイツのハックル選手がリュージュではオリンピック史上初となる3連覇を達成しました。「オレがメカニックだってことはシークレットにしておいてくれよ」と笑いながら立ち去ったメカニックたち。彼らにとって、すばらしい一日になったことでしょう。

猛スピードの選手が目の前を!
お祭り気分が楽しいリュージュの会場。でも、さらにすごかったのが競技の迫力です。リュージュやボブスレーが行われるこの会場では、観客が立ち見できる通路のすぐ目の前を選手たちが滑り抜けていくのです。選手たちは最高時速130kmほどのスピードを出していきます。クルマやオートバイのような音はしないので、コースの上の方から歓声がだんだん下に降りてきて、「そろそろ来るぞ!」と身構えた目の前を、氷を切り裂き、風を突き抜ける鋭い音とともに選手が通り過ぎていきます。この迫力、生でなければ味わえないものでした。

牛島選手が日本人史上最高位に
このリュージュ男子1人乗りに出場した日本の牛島茂昭選手は16位。日本選手としてはオリンピック最高の成績(今までの最高は17位)でした。試合後「リラックスしてレースに臨めたが、1本目がどうしてもうまく滑ることができず50%の出来でした」とコメントしていた牛島選手。3連覇を果たしたドイツのハックル選手など、世界の強豪を打ち破るには、まだまだ厳しい壁があるようです。でも、会場に集まっていた観客の、もっとも大きな声援を受けて成し遂げた「記録更新」。十分に価値のあることだと思います。

10日はいよいよ、スピードスケート男子500mのメダリストが誕生します。はたして清水選手は金メダルを獲得できるのか。また、この種目でのメダル獲得が難しい状況になった堀井選手も、残る1000mにつながるいい滑りを期待したいですね。

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