長野1998
採れたて長野通信
エムウェーブで行われたスピードスケート女子1000mで、岡崎朋美選手が自己ベストを記録。みごと7位に入賞しました。また、岡崎選手とは出身高校も所属チームも同じ後輩で、この種目の日本記録をもつ三宮恵利子選手が8位入賞。長野オリンピックでのスピードスケート陣大活躍に、さらなる勲章を書き加えました。おめでとうございます。
また、ショートトラックの選手たちも大健闘中。今日の女子500mでは、勅使川原郁恵選手が6位入賞です。次は21日。まだまだメダルの可能性がありますから、大いに応援しましょう。
現地直送!観戦レポート バイアスロン女子30kmリレー(野沢温泉)
「動」と「静」の過酷な競技
バイアスロンは、クロスカントリーと射撃の2つの種目を組み合わせた競技です。今日の女子30kmリレーには、日本チームは初参加。1人7.5kmのクロカンの途中で寝た状態の伏射と、立った状態の立射の2回の射撃をします。1周2km以上のクロカンコースを全速力で滑って来た選手が、今度は50m先にある45mmの的に弾を当てなくていけません。日本ではあまりなじみがありませんが、実際に観戦すると想像以上に過酷な競技だということがわかります。
息を切らして走ってきた選手が、狙いを定めて射撃の寝そべった体勢に入ります。体全体で大きく息をしている選手が4・5回大きく深呼吸をして、息も体の動きも完全に止めた一瞬に引き金を引きます。動から静へ。選手の表情にものすごい精神力を感じて、見ている側まで息を止めるほどの迫力がありました。
日本チームがやってきました。第1走者の本間選手の1発目は命中。大歓声が上がったその瞬間に、また「ハアハア」と肩で息をしています。滑り終えた選手は、そのまま雪の上に倒れ込む選手がほとんどです。競技の結果は、第1走者の本間選手が5位と健闘しましたが、第2走者の射撃ミスのペナルティーや、第3走者竹田選手が転倒して脱臼をするアクシデントに見まわれて、最終順位は14位。残念ながら入賞には届きませんでした。会場では、集まった観衆がどの国の選手に対しても大きな声援を送っていたのが印象に残りました。
応援で盛り上がる競技会場
長野市内から到着したバス停から、長い上り坂を歩いたところにあるバイアスロンの競技場。その途中で迎えてくれたのが、勇壮な道祖神太鼓でした。雄大な山並みをバックに響きわたる太鼓と、男女の道祖神、メラメラと燃え盛る火が日本三大火まつりの道祖神まつりの醍醐味をかいま見せてくれていました。
このイベントの中で、火打ち石で付けた火はこのオリンピック後に行われるパラリンピックで聖火になります。
会場では迷彩服を着た人が目立っています。銃を扱う特殊な競技。実はバイアスロンの日本選手たちは、全員自衛隊に所属しています。仲間が出るということで、自衛隊の人たちが大勢応援に駆けつけていたのです。クロカンなどの訓練で鍛えた体と精神力が、バイアスロンには適しているということです。いつもは緊張感をもって仕事をしている自衛隊員の方々。競技会場では「JAPAN」「がんばれ!」などメッセージ入りの雪のオブジェを作って日本選手の応援に盛り上がっていました。
ナルトが入ったバイアスロン鍋
バイアスロン会場から帰るバス乗り場で人気なのが「バイアスロン鍋」。なんだか得体の知れない名前ですが、いただいてみると、ようするにとん汁です。でも、具に射撃の的に見立てた「ナルト」と、弾に見立てた丸くて小さい「フ」が入っているがポイントなのでした。地元野沢温泉のボランティアの人たちが知恵を出して作ってくれたこの鍋は、冷えた体があったまって本当にうまい!
「見に来た人みんなに食わせてやりたいんだ」。鍋をかきまぜるおじさんは笑顔でとても楽しそうです。大人も子供も日本人も外国人もみんなが、「熱い!」とか「おいしい!」とかワイワイと味わって、テントの周りはおおにぎわい。野沢温泉の人の心遣いに、身も心もあったまる気持ちでした。
スキー選手の街「野沢温泉」
野沢温泉はアルペンの富井剛志選手、ノルディック複合の森敏選手、富井彦選手の三人もの有力選手を長野オリンピックに送り込んでいる村です。
ずうずうしくも取材班は森敏選手の実家の旅館「さかや」まで、押しかけてみました。フロントで話を聞くと、家族を含めて70人の人たちが白馬まで応援しにいってしまったとのこと。19日はノルディック複合団体のジャンプが行われているのでした。残念ながら家族の人には会えませんでしたが、居残り組の人が「林業センター」で応援しているというので行ってみました。
着いてみると「居残りテレビ観戦組」はたったの6人。少ない人数ですが、「よしっ!」「行けー!」「K点届いたー」と掛け声の上がる力の入った応援です。3人の選手はみんな近所の顔見知り。野沢温泉の中でも大湯地区出身の森敏選手と富井彦選手のことを良く知るおじさんは「ずっとスキーばっかりやっていたな」と自分の息子のことを語るように優しい表情で話してくれました。詳しく聞くと、幼稚園のころから「ジュニアジュニアスキークラブ」で、スキーに馴染んでいたということ。幼稚園児にして「家の庭で小さいジャンプ台を作って遊んで」、「小学生では村のスキー場にある20m級ジャンプ台をボンボン飛んでいた」のだそうです。
20日はいよいよ、ノルディック複合団体でメダルの決まるクロスカントリーが行われます。野沢出身の2選手はもちろん、日本チームにがんばってもらいたいですね。
ワンダフル・オリンピック 世界がNAGANOにやってきた!
ワールドユースキャンプを訪問しました
ワールドユースキャンプをご存じでしょうか。オリンピックには、競技での勝負のほかに、国籍文化を超えて参加者同士の友好を深めるという大切な目的があります。そのための公式プログラムのひとつが世界各国から若者たちが集まってオリンピックを観戦し、共同生活をしながら自国文化を紹介しあう「ワールドユースキャンプ」です。
ワールドユースキャンプが夏のオリンピックで公式に採用されてから30年になりますが、冬季大会では長野が初めて。今回は15歳から20歳までの若者217人が世界51カ国から集まり、2月5日(日本からの参加者は3日)から17日までの軽井沢でのキャンプ期間中、グループ討議、長野県内の学校訪問、競技観戦を楽しんでいます。また、海外からの参加者約150人は長野県内でホームステイを体験し、日本文化とふれあいます。
日本から参加しているのは、高校生などの男女63人。日本選手団の壮行会・結団式にも参加した彼らは立派な日本代表なのです。
ユースキャンプは24時間活動です
若さあふれた同世代の青年たち。一日のスケジュールが終わった後(終了は夜9時過ぎになることもあるそうです)には、ロビーに集まって明け方までお互いの国のことを話し込んだり、歌を披露しあったりと、パワフルな毎日を過ごしているそうです。
取材班が訪れたときはちょうどホームステイ期間中で、研修所は意外に静かでした。でも壁の地図上に貼ってある各国の国内事情をまとめたメモの多さや、ていねいに描かれた黒板のインフォメーションなどからでも、普段の彼らのがんばりが想像できました。
キャンプに残っていた若者たち数人と話をしたのですが、アルメニアから来たバルダニヤンさんやロシアのダビデフさんらは「ここで話したこと、見たことを、帰ったらみんなに伝えたい」と楽しそうに話してくれました。そして一緒に話したみんなの言葉の中でひんぱんに出てきた「とにかく今は寝る間も惜しい」という言葉に、彼らの熱意をはっきりと感じました。
ワールドユースキャンプはもうすぐ終わってしまいますが、参加者たちがキャンプで得たことを生かすのはこれからです。今後の彼らの活躍に期待しています。そしてパワフルな親善大使たちに、メダリストに負けないくらいの大きなエールを送りたいと思います。
ピンズがあれば世界の人と話がはずむ
オリンピックでは、スポンサーの企業などを中心にオリジナルの「ピンズ」が作られて、各競技やイベントの会場などで配られています。それぞれの企業がときには十種類以上のピンズを作ることもあり、長野オリンピックをテーマに作られたピンズは数え切れないほどの種類があるのです。
ピンズというのは、デザインされた小さなプレートをピンで帽子やセーター、ジャケットに留めるアクセサリーのこと。日本ではあまりなじみがありませんが、欧米では大イベントのピンズをコレクションしている人が多いようです。オリンピック期間中の長野市内では、ピンズを探して街を歩いている海外からの観客がたくさん目に付きます。
駅からセントラルスクエアに向かう途中、おしゃれなピザショプ前でピンズを広げていたのはダン・ベーカーさん。大きなイベントのピンズを追いかけて世界中を旅して回っているそうです。珍しい種類のピンズを見つけて集め、店を広げて売りさばきます。でも、「売れればまた次のイベントに行けるけど、売れなきゃ動けない。ちょっとしたギャンブルなのさ」と平気な顔で話してくれました。長野でのギャンブルが成功すれば、次はフランスのワールドカップへ行く予定なのだとか。
ドン・ホリスさんは、今までコレクションした4000個のピンズを持ち込んで、交換だけをしています。ピンズって、こうやって売ったり交換したりするのが当然のものらしいです。中央通りにあるある企業のブースはズバリ「ピンズ・トレーディング」という名前で、中ではいろいろな国のひとたちがズラリと並ぶピンズと自分のピンズを見比べて、物々交換のチャンスを狙ってます。
長野でピンズを手に入れたら、帽子や襟など目立つところにつけて街を歩きましょう。きっと「交換しませんか?」と、いろんな国の人が話しかけてきてくれますよ。
関西ウェルカムハウスでひと休み
駅から善光寺に向かい、八十二銀行がある交差点を右に曲がったところに、江戸時代に建てられた油屋「三河屋」の建物が残っています。この旧商家を利用して開設されているのが、2008年夏季オリンピックの日本立候補地に決定している大阪など、関西主要都市の協力による「関西ウェルカムハウス」です。
大阪市と横浜市が争った昨年8月13日のオリンピック競技大会候補都市選定会議。国内候補地に決定した大阪市が掲げた基本理念は「地球市民のオリンピック」。全世界の人々が、民族、文化、アイデンティティ、国境の違いを超えて、平和を分かち合おうというものでした。
この「関西ウェルカムハウス」では、日本のアイデンティティともいえる伝統文化を紹介しています。京都、大阪、神戸といった関西の主要都市には、すばらしい文化が受け継がれているのです。
広い土間や中庭など和風情緒が満点の室内には、実際の舞台で使っている文楽人形やたくさんの着物が展示してあります。また、千代紙の折り紙、凧、けん玉など、昔ながらの日本の遊び道具を手にとって遊べるようになっていて、海外からの来場者に喜ばれていました。
この「関西ウェルカムハウス」を運営する関西経済連合会の仲川洋子さんは「オリンピック期間中に、大阪だけでなく神戸、奈良、京都などの伝統工芸品を紹介することで、日本文化の発信をしていきたいんです」と話してくれました。「ちょっとした休憩も大歓迎です。気軽に立ち寄ってください」とのことです。みなさんも、これから長野にいらっしゃるなら、ぜひ一度立ち寄ってみてください。関西ウェルカムハウスはオリンピック期間中(22日まで)の毎日オープンしています。
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