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松永共広選手(レスリング 男子フリースタイル55kg級)
池松和彦選手(レスリング 男子フリースタイル66kg級)

松永共広選手

池松和彦選手

写真提供:フォート・キシモト

レスリング男子には"フリースタイル"と"グレコローマンスタイル"の2種目があり、それぞれ競技ルールが異なります。男子のみの種目であるグレコローマンスタイルは上半身だけで攻防しますが、女子種目にもあるフリースタイルは全身への攻防が可能で、スピーディーな展開や激しいタックルが見どころです。

そんな男子フリースタイルで北京に挑むのが、2008年3月に行われたアジア選手権で北京オリンピック出場権を獲得した、55kg級の松永共広選手と66kg級の池松和彦選手です。

「出るからには優勝を目指します」と話すのは、初のオリンピックに挑む松永共広選手です。全日本選手権、全日本選抜選手権、ヤシャ・ドク国際大会など数々の大会で優勝を果たしている松永選手ですが、同階級にはアテネオリンピックで銅メダルを獲得した田南部力選手という強力なライバルの存在があり、これまでオリンピックへの出場がかないませんでした。

田南部選手引退後、周囲の期待を一身に背負った2007年世界選手権では、2003・2005年世界選手権と2006年アジア選手権の王者ディルショド・マンスロフ(ウズベキスタン)といきなり初戦でぶつかり、敗退。「8位以内入賞で北京オリンピック出場権獲得」という条件でしたが、この大会での切符を逃しました。その8カ月後に行われた2008年全日本選手権では、存在感ある戦いぶりで4連覇を達成。2008年アジア選手権ではその勢いを維持し、見事優勝。北京オリンピックへの切符を手に入れました。

松永選手は、「初めてのオリンピックは楽しみというよりも『やってやる』という感じです。たぶんこれが最後のチャンスになると思うので、悔いの残らないように頑張りたいです」と北京に向けた強い思いを語りました。

一方、2008年4月に福岡大学レスリング部のコーチに就任し、部員と共に練習に励んでいる池松選手は、北京で自身2度目のオリンピックを迎えます。2003年の世界選手権で3位に輝いて挑んだアテネオリンピックは、予選を全勝で通過するも、決勝トーナメント1回戦で延長戦の末に惜敗。5、6位決定戦で判定勝ちを収め5位入賞を果たしますが、非常に悔しい思いの残るオリンピックとなりました。

その後、「正直燃え尽き症候群のような時期もあった・・・・・・」と当時の苦悩を振り返る池松選手ですが、2007年全日本選手権を3年振りに制覇し、心身共に復活。2008年アジア選手権では惜しくも決勝進出を逃し3位に終わりましたが、1位の北朝鮮は世界選手権に出ておらずオリンピック出場権がなく、また2位のモンゴルはすでに出場権を獲得していたため、3位の池松選手が北京オリンピックの出場権を獲得しました。

間近に迫ったオリンピックについて、「北京が最後のオリンピックになると思うので、完全燃焼を目指して頑張ります。それがメダルにつながれば言うことないですね」と、意気込みを語る池松選手の表情は、熱い決意に満ちていました。

共に「北京が最後のオリンピック」と言うふたり。集大成となる北京オリンピックまであと3カ月を切りました。1988年ソウルオリンピック以来、金メダルから遠ざかっている男子フリースタイルで、20年ぶりに日本人選手が頂点に立つことを期待しています。

(編集部 2008.5.15掲載)