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太田雄貴選手(フェンシング 男子フルーレ)
千田健太選手(フェンシング 男子フルーレ)
フェンシングには、フルーレ・エペ・サーブルの3つの種目があります。フルーレの有効面は両腕と頭を除いた胴体部分。先に攻撃した方が優先権を持つ「攻撃権」があります。エペは3種目中最も重い剣を使用し、全身どこを突いても有効です。サーブルの有効面は上半身で、フルーレ同様に攻撃権がありますが、切りが攻撃の主体となります。
北京オリンピックに挑むフェンシング日本代表選手は、7名(フルーレ男子2名・女子1名、エペ男女各1名、サーブル男女各1名)。その中で最もメダルに近い位置にいるのが、男子フルーレ個人に出場する太田雄貴選手です。
「僕は小学3年生からフェンシングを始めましたが、5年生の時にオリンピック選手と同じ体育館で練習する機会があって、『この人みたいに強くなりたい!』と思ったんです。その時から、オリンピックに対する憧れを持ちました。」と話す太田選手は、17歳の時に全日本選手権で、史上最年少での優勝を果たして以来、日本のエースとして活躍してきました。
2004年、18歳で臨んだアテネオリンピックでは、日本人最高の9位と大健闘。2006年のアジア大会では日本人として28年ぶりの金メダルを獲得し、2007・2008年のアジア選手権では2連覇を果たすなど、世界トップレベルの剣さばきで数々の記録を残すと同時に、近頃はフェンシングの普及活動にも努めています。
北京の出場権は、2008年3月末時点での世界ランキング8位以内が確定した3月11日に獲得。その後は“金メダル”を目標に、特に基礎体力の強化に励んできました。「『ここまでやったんだから、絶対に勝てる』と自信を持てる位、練習をしたいんです。基礎体力は技術力にもつながりますから」と、本番に向け最終調整には余念がありません。
同じく男子フルーレ個人に出場する千田健太選手は、世界ランキング最後の対象試合であるワールドカップポルトガル大会で世界ランキング14位になり、アジア枠2番手で北京オリンピック出場権を獲得しました。
「出場が決まってからは、強い選手といかに戦うか、技の研究や開発に取り組んでいます」
その成果は、今年5月に行われた高円宮杯ワールドカップ東京大会3回戦で、アテネの銀メダリスト、サルバトーレ・サンツォ選手(イタリア)を破る大金星という快挙となり、あらわれました。
また、北京での戦いに向けては、「とにかく思い切りやります!でもまずは、サンツォ選手など世界トップクラスとの対戦が予想される、ベスト8を懸けた戦いがポイントになると思います。」と、夢の舞台をイメージしています。
千田選手は中学1年生からフェンシングを始めました。苦しい競技生活の支えとなったのは、日本不参加となった1980年モスクワオリンピックの日本代表だった父、健一氏です。「父は、『お前の方が(自分よりも)はるかにレベルは上だ。頑張ってこい!』と応援してくれています。オリンピックで今までの恩返しがしたい。結果を残して喜ばせてあげたいです。」と、父への思いを胸にメダルに挑みます。
フェンシングの見どころはかけひきとスピード感。一瞬のうちに繰り広げられる攻防からは、目が離せません。「僕は出場選手の中でも小柄な方(千田選手は171cm、69kg)。でも、小さいなりにフットワークを活かした攻撃に注目して欲しいです。」という千田選手と、「オリンピックはフェンシングの魅力を伝えることができる絶好の場。僕が活躍してフェンシングの面白さを知ってもらいたいです。」と太田選手。
日本は1952年ヘルシンキオリンピックから連続で出場していますが、1964年東京オリンピックでの男子フルーレ団体4位入賞の記録を破れずにいます。北京での日本フェンシング界初のメダル獲得を目指し、国立スポーツ科学センターを拠点に「500日合宿」を行い、徹底した強化を行ってきました。
北京オリンピックでの男子フルーレ個人の試合日は8月13日(水)、熱い声援をお願いします。
(編集部 2008.7.31掲載)
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